執筆:上村菜穂(株式会社PR NET 代表取締役|大手企業・公的機関で延べ15,000名以上にSNS研修を実施)

Instagram(インスタグラム)での自分らしさの出し方とは、特別な経歴や華やかな写真を見せることではありません。あなたが実際に見て心が動いた出来事を持ち帰り、仕事のテーマと結びつけて語ることです。一人でお店や教室を営み、「同業者と同じような投稿になってしまう」と感じている方に向けて、その具体的な手順をお伝えします。

毎日きちんと投稿しているのに、同業者の投稿と並べると見分けがつかない——。
役に立つことを書いているはずなのに、誰の記憶にも残っていない気がする——。

これまで500件以上のSNSアカウントを個別に指導してきました。その中で、とてもよく伺うお悩みです。

💡 結論サマリー(30秒でわかる本記事の答え)
  • 自分らしさは、性格ではなく「何に心が動いたか」という視点に表れます
  • 正しい情報は誰でも作れる時代です。差がつくのは、あなたが実際に見て感じたことです
  • 出し方は4ステップです:予定外の出来事を一言で残す → 心が動いた理由を1行にする → 仕事と「斜め45度」で結びつける → ストーリーズで試してフィード投稿に育てる
  • 特別な体験は必要ありません。「なぜか記憶に残ったこと」で十分です
📖 この記事でわかること
  • Instagramの自分らしさが何に表れるのか
  • 整った投稿と記憶に残る投稿の違い
  • 日常の出来事を自分らしい投稿に変える4ステップ
  • 自分らしさを出そうとして起きやすい失敗

Instagramの自分らしさは「体験と仕事の結びつき」に表れる

結論からお伝えします。Instagramで自分らしさが伝わる投稿は、「あなたが体験したこと」と「あなたの仕事」が、あなたにしかできないつなぎ方で結ばれている投稿です。

自分らしさは性格ではなく「視点」に宿る

「自分らしさを出しましょう」と聞くと、明るい人柄を見せなければ、と思う方がいらっしゃいます。プライベートをもっと出さなければ、と考える方もいます。

けれど、読者の記憶に残る自分らしさは、性格そのものではありません。同じ景色を見たときに何に目が留まり、どう感じ、それを何と結びつけたか。その「視点」にこそ、あなたらしさが表れます。

視点は、同じ場所にいた人でも一人ひとり違います。だからこそ真似されにくく、あなたを選ぶ理由になるのです。

正しい情報だけの投稿が埋もれやすくなった理由

今は、何かを知りたいと思えばAIがすぐに教えてくれます。投稿文の下書きも、わかりやすい構成も、以前よりずっと短い時間で整えられるようになりました。

その結果、「正しくて、わかりやすい情報」だけの投稿は増え続けています。役に立つ内容であることは、今も大切です。ただ、それだけでは同業者の投稿との違いが見えにくくなりました。

一方で、あなたが実際にその場へ行き、見て、感じたことは、あなたの中にしか残りません。整った情報があふれるほど、一次体験の価値はむしろ高まっていきます。

整った投稿と記憶に残る投稿の違い

2つの投稿の違いを、4つの観点で比べてみます。

観点 整った投稿 記憶に残る投稿
出発点 テーマ(何を伝えるべきか) 体験(何に心が動いたか)
情報の出どころ 調べればわかる一般的な知識 発信者が実際に見聞きしたこと
読んだあとに残るもの 「なるほど」という理解 「あの人のあの話」という記憶
真似されやすさ 真似されやすい 真似されにくい

どちらかが正解というわけではありません。整った投稿で信頼を積み重ねながら、ときどき記憶に残る投稿を混ぜる。この組み合わせが、アカウント全体の「その人らしさ」をつくっていきます。

逆走する羊を見て気づいた、記憶に残る発信の条件

先日、私は初めて六甲山牧場を訪れました。そこで初めて知ったのが「シープレース」です。羊たちが一斉に走り、ゴールを目指すレースです。

ところが、私が見た回は、想像していた「レース」とは少し違いました。

まっすぐ走らず、逆走してしまう羊がいます。レースの途中なのに、立ち止まって食事を始める羊もいます。周りが走っていても、急ぐ様子のない羊もいます。

どの羊も驚くほどマイペースで、私は数分のあいだ、何度も笑っていました。

もし羊たちが競走馬のように、まっすぐゴールを目指していたら。「もふもふしていてかわいかったね」という感想だけで終わっていたかもしれません。このレースが強く記憶に残ったのは、予想どおりに進まない出来事が次々に起きたからでした。

そして数日後、仕事について考えていたとき、ふとこの羊たちの姿が浮かびました。

正しい答えへ、まっすぐ最短距離で進む発信は、たしかにわかりやすいものです。けれど、人の記憶に残るのは、必ずしも最短距離でたどり着いた正解だけではありません。

予定どおりに進まなかったこと。理由はわからないけれど、なぜか心が動いたこと。そうした小さな偶然が、あなたにしか話せない物語の種になります。

もし今、「私には人に語れるような特別な経験がない」と感じているなら、安心してください。必要なのは、珍しい経験をたくさんすることではありません。すでにあなたの毎日の中にある偶然を、通り過ぎずに持ち帰ることです。

Instagramで自分らしさを出す4ステップ

ここからは、日常の出来事を自分らしい投稿に変える手順をご紹介します。上から順番に進めてください。

予定外の出来事をその日のうちに一言で残す

最初のステップは、「今日、なぜか記憶に残ったこと」をスマートフォンのメモに一言だけ残すことです。

  • 予定とは違ったけれど、面白かったこと
  • 思わず笑ってしまった光景
  • 思わず誰かに話したくなったこと
  • 誰かの何気ない一言

ここでのポイントは、投稿のネタになるかどうかをその場で決めないことです。「使えそうなもの」だけを選ぶと、心が動いた瞬間の多くを取りこぼしてしまいます。

メモを習慣にするコツは、「SNS投稿って面倒!」と思ったときに知ってほしいことでもご紹介しています。

心が動いた理由を1行で言葉にする

次に、残したメモを見返して、「なぜ心が動いたのか」を1行で書き添えます。

たとえば私の場合は、こうなります。

  • 出来事:シープレースで、羊が逆走していた
  • 理由:まっすぐ進まないからこそ、記憶に残ったと気づいた

この1行が、あなたの視点そのものです。同じ羊を見ても、「かわいかった」で終わる人もいます。「羊の性格の違い」に目が向く人もいます。理由の書き方に、あなたらしさがにじみます。

仕事のテーマと「斜め45度」で結びつける

3つ目のステップでは、その理由を仕事のテーマと結びつけます。

ここで意識したいのが、「斜め45度」の結びつきです。「なぜ、ここで羊の話が出てくるのだろう」と読者が一瞬思う。そのあとに「なるほど」とつながる。この小さな意外性が、文章に自分らしさを生みます。

結びつけ方の例をいくつかご紹介します。

  • エステサロンなら:「急いで結果を求めない羊」から、「肌も、焦らず自分のペースで整えていい」という話へ
  • ヨガ講師なら:「途中で立ち止まって食事を始める羊」から、「立ち止まる時間があるから、また前に進める」という話へ
  • 私のようにSNSを教える仕事なら:「予定外の出来事が記憶に残る」から、「発信も、正解より偶然が人の心に残る」という話へ

すぐに結びつかなくても大丈夫です。メモを残しておけば、別のテーマを考えているときに突然つながることがあります。

ストーリーズで試し、反応があったものをフィード投稿に育てる

最後のステップは、小さく出して、反応を見ることです。

まずはストーリーズで、出来事と一言の感想を短く投稿します。ストーリーズは気軽に出せるので、「こんな話、仕事に関係ないかな」と迷うものでも試しやすい場所です。

そこでリアクションやメッセージが届いた話題は、読者の心にも届いたというサインです。その話題を、結びつけた仕事のテーマとあわせて、フィード投稿やキャプションの長文にじっくり育てていきましょう。

読まれるキャプションの書き方は、インスタ長文の書き方|読まれる投稿に変わる4つのコツと例文で詳しく解説しています。

Instagramを集客にどうつなげるかを体系的に学びたい方は、Instagramセミナーの内容もあわせてご覧ください。

自分らしさを出そうとして起きやすい3つの失敗

特別な体験を探しに行ってしまう

「発信のために、珍しい場所へ行かなければ」と考える必要はありません。特別な体験を探しはじめると、発信のための行動になり、心が動く瞬間がかえって減ってしまいます。いつもの帰り道や、お客様との何気ない会話で十分です。

プライベートをそのまま見せてしまう

日常の出来事を投稿すること自体は問題ありません。ただ、仕事とのつながりがないまま日記のように並べると、読者は「この人に何を相談できるのか」がわからなくなります。4ステップの3つ目、仕事との結びつきまでを1セットと考えてください。

結びつけが強引で、教訓っぽくなる

「だから皆さんも◯◯しましょう」と結論を押しつけると、せっかくの体験が説教のように聞こえてしまいます。「私はこう感じました」と、自分の気づきとして語るくらいがちょうどよい温度です。

今日からできる一歩は「なぜか記憶に残ったこと」を3つ書き出すこと

この記事を読み終えたら、最近1週間を振り返ってみてください。そして「なぜか記憶に残っていること」を3つ、メモに書き出してみましょう。

仕事に関係あるかどうかは、今は考えなくて大丈夫です。その3つのどれかが、あなたにしか書けない投稿の種になります。

よくある質問

Q仕事と関係のない日常を投稿しても大丈夫ですか?
A大丈夫です。ただし、日常の出来事だけで終わらせず、「そこから何を感じ、仕事の何につながったのか」まで添えることをおすすめします。そうすることで、日常の投稿も、あなたの専門性や考え方を伝える投稿になります。
Q特別な体験がない場合はどうすればいいですか?
A特別な体験は必要ありません。大切なのは、出来事の珍しさではなく、あなたが何に心を動かされたかです。いつもの道で見かけた景色や、お客様の何気ない一言でも、心が動いた理由を言葉にできれば、十分に自分らしい投稿になります。
Qネタ帳を作るのとは何が違いますか?
Aネタ帳は「投稿に使えそうな話題」を集めるものです。この記事でおすすめしているのは、使えるかどうかを判断する前の「心が動いた瞬間」を残すことです。判断を後回しにすることで、あとから思いがけないつながりが生まれやすくなります。投稿ネタの探し方については、【SNS発信の3大悩み】読まれない、投稿ネタが浮かばない、タイトルに困るもあわせてご覧ください。
QAIで投稿文を作ると、自分らしさはなくなりますか?
A文章を整えたり、構成を考えたりする部分でAIを使っても、自分らしさがなくなるわけではありません。ただ、「何を見て、何を感じたか」という体験の部分は、あなたにしか用意できません。体験と気づきはご自身で持ち寄り、言葉を整える部分でAIに手伝ってもらう使い方がおすすめです。
Qストーリーズとフィード投稿、どちらで出すのがいいですか?
Aまずはストーリーズで短く出してみるのがおすすめです。気軽に試せるうえ、読者の反応を確かめられます。反応があった話題は、仕事のテーマと結びつけて、フィード投稿でじっくり届けましょう。

まとめ

Instagramで自分らしさを出すとは、特別な自分を演出することではありません。あなたが実際に見て、心が動いた出来事を持ち帰り、仕事のテーマと結びつけて語ることです。

  1. 予定外の出来事を、その日のうちに一言で残す
  2. 心が動いた理由を、1行で言葉にする
  3. 仕事のテーマと「斜め45度」で結びつける
  4. ストーリーズで試し、反応があったものをフィード投稿に育てる

整った情報があふれる時代だからこそ、予定どおりではなかった出来事が、あなたにしか話せない物語になります。

SNS集客をしっかり学びたい方は、SNS集客セミナーもご覧ください。

上村菜穂 プロフィール写真
著者プロフィール|上村菜穂(株式会社PR NET 代表取締役)

マーケティングの本質×SNSのトレンドを掛け合わせた、SNSからの女性集客を専門としている。14歳でメールマガジンを始め、8ヶ月で20,000人の登録を達成(当時の歴代最年少記録)。個人・法人の500件以上のSNSアカウントを個別に指導。これまでの登壇・研修先は、ダイハツ工業・東芝テック・ロート製薬・POLA・楽天大学(楽天グループ)・東京大学・東京都中小企業振興公社・各地商工会議所など。全国で延べ15,000名以上へ講演・研修を実施している。詳しいプロフィールはこちら

🎯 発信のヒントを毎週お届けしています

Instagram集客や発信のヒントは、毎週月曜22時のメールレターでお届けしています。読者の方から「最近出会った予定外の出来事」のお返事をいただくのも、私の楽しみのひとつです。

▶ メールマガジンに登録する