執筆:上村菜穂(株式会社PR NET 代表取締役|大手企業・公的機関で延べ15,000名以上にSNS研修を実施)

※この記事は2021年11月に書いたものを、読みやすく整えています。

💡 結論サマリー(30秒でわかる本記事の答え)

センスは才能ではなく、知識から磨けるものです。

Instagramのセンスは、「普通」を知って自分の基準をつくり、誰が・どんなシーンで使うのか、使うとどんな気持ちになれるのか、商品の魅力は何かを考えて撮ることで身につきます。大切なのは、いい感じの1枚ではなく、コンセプトに合った写真で世界観をつくり続けることです。

📖 この記事でわかること
  • センスとは何か(辞書と『センスは知識からはじまる』の定義)
  • センスをよくするために「普通」を知る大切さ
  • 効率よく知識を増やす3つのコツ
  • Instagramの写真センスを磨くための3つのポイント

「Instagram(インスタグラム)を頑張って発信しよう!」となったときに、多くの人がぶつかる壁がセンスの問題です。文字投稿がメインのX(旧Twitter)なら写真のセンスは関係なく、言葉のセンスが問われますが、Instagramは写真から始まったSNSだからこそ、今でも写真の価値が重視されています。

そして、伸びているアカウントには、一定数の人たちが魅了されている「何か」があります。この「何か」こそ、人々が「センス」と呼ぶものではないでしょうか。

今回は、身の回りでついつい使うけれど、いざ深掘りされるとよくわからない、センスの定義や磨き方をまとめました。もしも、センスは才能ではなく知識で成り立っているとしたら?知りたいと思う方だけ、読み進めてください。

センスの定義。センスとは何か?

「あの人はセンスがいい」「センスがいい空間」「センスがいいファッション」「センスがいいお料理」。褒め言葉としてよく使いますが、センス=オシャレとは言い切れませんよね。「経営センス」「ビジネスセンス」という言葉もあるくらいです。

そこで、センスについて調べてみました。goo辞書によると、「センス」とは次のような意味だそうです。

goo辞書より

1. 物事の感じや味わいを微妙な点まで悟る働き。感覚。また、それが具体的に表現されたもの。「文学的な—がある」「—のよくない服装」「バッティング—」

2. 判断力。思慮。良識。「社会人としての—を問われる」

少し抽象的で、わかるような、わからないような…と引っかかったので、もう少し調べてみると、書籍に答えがありました!「くまモン」をはじめ、アパレルブランド、劇場、大学、鉄道…と、枠にとらわれないジャンルのデザインやブランディングを手がけてきたクリエイティブディレクター・水野学さんの著書『センスは知識からはじまる』です。

水野学さんが定義する「センス」とは

本書を開くと、早速p16に書かれていました。ズバリ、センスとは「数値化できない事象を最適化すること」です。センスが難しいと言われる本質は、数値化できないという点にあるのでしょう。本書では、こんなふうに説明されています(p17〜)。

『センスは知識からはじまる』より

経営センスのある社長がいる会社は、たくさん利益を出していそうに思えますし、数字はとても大切です。しかし、業績がよくても「センス?うーん、どうだろう?」という会社もあるでしょう。

例えば従業員や取引先を悲しい目に遭わせて利益を出していたら、センスがいい会社とは言えません。逆に業績はいまひとつでも、良い人材を育成し、力の強い企業をつくろうとしている社長なら、経営センスがいいかもしれません。

これを読んで思ったのは、本人にとっての「いいもの」が人それぞれ違うから、センスは複雑になっているのだということです。周りがどんなに「利益より仲間を大切にすべき」と言っても、利益ファーストの人を変えられないように。

ファッションでも、同じ30歳の女性で、Aさんは綺麗めなオフィスコーデ、Bさんは動きやすくトレンドに左右されないカジュアルコーデ、Cさんはハイブランドのコレクションに出るような個性的なコーデが好き…と、これまでの価値観で「良し」とするものが違います。

だからこそ、「センスのある写真はこうですよ」という答えに合わせるのではなく、自分が何を大切にしたいのかを決める必要があります。自分にとっての写真の最適解とは?から、自分にとっての生き方の最適解とは?を考えるのもいいでしょう。話が大きくなってきましたが、一言のQ&Aで収まらないのが「センス」だからこそ、向き合う価値があるのだと思います。

「センスがいい!」をつくり出すための秘訣

センスをよくするには「普通」を知ること

こちらも本書から引用します(p19)。

『センスは知識からはじまる』より

センスがいい商品をつくるには、「普通」という感覚がことのほか大切です。それどころか、普通こそ、「センスのいい/悪い」を測ることができる唯一の道具なのです。

では普通とは何でしょう?大多数の意見を知っていることでも、常識的であることとも違います。普通とは、「いいもの」がわかるということ。普通とは、「悪いもの」もわかるということ。その両方を知った上で、「一番真ん中」がわかるということ。

「センスがよくなりたいのなら、まず普通を知る方がいい」と僕は思います。

この一文を読んで頭に浮かんだのは、最近夢中になりつつある美食巡りで、特にフレンチの美味しさがだんだんわかるようになってきたことです。

20代の頃は高級なお店にそれほど頻繁には行けなかったので、オシャレな雰囲気でいただくフレンチを「美味しい!」と感じていました。数年経ち、美食を教養や体験としても知りたくなって色々なお店に行く中で、とある高層階のフレンチに数年ぶりに伺う機会がありました。行く前から「数年前に美味しいと感動したお店だけれど、今の私はどう感じるんだろう」と思っていたら、本当にその通りでした。

オシャレな雰囲気で、ご一緒したのも親しい方だったので、楽しい時間だったことは間違いありません。でも、色々と体験して「知る」幅が増えたことで、自分の中に明確な基準ができていたのだと実感しました。

だからこそ、写真に苦手意識があっても、なんとなく撮ってアップするのではなく、次の2つを探しましょう。

  • 自分にとって「いいな」と思う写真は何か?
  • 自分にとって「よくない」と思う写真は何か?

例えばあなたがセラピストさんなら、「行きたい!」と感じるサロンの写真と、「ここは行きたくない」と感じてしまうサロンの写真を見つけることです。写真で例えましたが、文章でも同じです。

どんな職種にもセンスが欠かせない

センスというと、デザイナーやフォトグラファー、動画制作者など、特定の領域の人に関係するものだと思ってしまうかもしれません。でも本書では、全員が持っておくべき知識だと提唱されています(p68〜)。

『センスは知識からはじまる』より

人間は視覚が何割とかいうけれど、やっぱり瞬間的にものを見て判断しているんだな。商品というアウトプットは「もの」であり、視覚に左右されます。

(中略)どんなにいい仕事をしていても、どんなに便利なものを生み出していたとしても、見え方のコントロールができていなければ、その商品はまったく人の心に響きません。

見え方のコントロール…本当にそうですよね。ここからは私の見解ですが、見え方を深掘りするときは、紹介したいもの・撮影したいものの「メイン」と「サブ」をそれぞれ考えることが大事だと思います。

シャネルのリップを単体で撮影した写真と小物と一緒に撮影した写真の比較

撮影したのはシャネルのリップですが、単体で撮影したものと、サブの小物と一緒に撮影したものでは、イメージが異なります。もし小物を別のものに変えたら(例えば深紅のローズなら、より一層色気が増すなど)、また別の印象になるでしょう。

だからこそ、「見え方をコントロールするために、何を組み合わせるのか?」を事前に考えているかどうかで、写真のクオリティは大きく変わります。写真に苦手意識がある人は、「組み合わせを考える」という視点がなかっただけということもとても多いです!そう考えると、できそうな気がしませんか?^^

センスとは、知識にもとづく予測である

本書では、こうも書かれています(p86〜)。

『センスは知識からはじまる』より

よきセンスをもつには、知識を蓄え、過去に学ぶことが大切です。過去を知って知識を蓄えることと、未来を読んで予測することは、一見すると矛盾しているように感じます。しかし、僕の中でこの二つは明確に繋がっています。知識にもとづいて予測することが、センスだと考えているのです。

この後、例として経営センスについて述べられています。インタビューで「社長はどうして市場の先行きが予測できたんですか?」と聞くと、「長年の勘です」と。市場の予測というと自分とは遠い話に思えますが、皆さん自身も、たくさんの時間を費やしてきたことには、勘が働きませんか?

先日、子どものいる友人ご夫妻とお会いしたときのことです。生後半年の赤ちゃんも一緒に食事をしていて(とてもいい子で、2時間まったく泣きませんでした)、子育て経験のない私には「今、何か話した!」くらいしかわからないのに、お二人は「ミルクあげようか^^」と。パパママってすごいなぁと思いました。言葉になっていない赤ちゃんのニーズが勘でわかるのも、経験があるかどうかの差ですよね。

これをビジネスに活かすなら、次の2つが大事だと思ったのです。

  • 自分の勘を言語化できるよう、情報にアンテナを張る
  • 苦手なものは才能を言い訳にせず、経験不足だと認めて知識をつける

私の場合、文章と写真がまさにこの例でした。

  1. 自分の感覚でやっていたことを、人に褒めていただけた
  2. コツを質問されても、よくわからなかった
  3. 理論を勉強してみた
  4. 無自覚でやっていたことがわかり、新しい知識や、自分独自の表現での考えも得られた
  5. 人に伝えられるようになった(今の講師業に大いに生きています)

人から褒めていただけることにアンテナを張り、その感性や能力を磨いていくと、もっといい循環を生み出せるのではないかと思います。

効率よく知識を増やす3つのコツ

本書で紹介されている3ステップはこちらです(p103〜)。

  1. 王道から解いていく(王道とは「定番のもの」「一番いいとされているもの」「ロングセラーになっているもの」)
  2. 今、流行しているものを知る
  3. 「共通項」や「一定のルール」がないかを考えてみる

王道と流行を知ることで知識の幅が広がり、今のブームと伝統的なものに共通項やルールがあれば、それは欠かせない必須事項です。

SNSも、mixiやアメブロから、今はInstagramやTikTokへとブームが移り変わってきました。でも、誰に届けるのかターゲットを絞ること(ペルソナを決めること)、自分は何の専門家なのかを明確にすることは、ずっと変わらない王道です。その中で、ネットショップ機能ができたり、ショート動画になったり、音楽を合わせたりと、時代ごとのトレンドがあります。違いを受け入れたうえで共通項を見出すと、今後何を大切にすべきかがわかるのです。

本書には他にも、水野さんの豊富な経験からセンスの磨き方がわかりやすいエピソードとともに書かれていて、「これなら私にもできそう!」とワクワクする一冊です。ご興味のある方は、こちらの書籍をご一読ください^^

Instagramでセンスを磨くために押さえたい3つのポイント

Instagramの写真撮影のコツ

センスの本質を理解したところで、この知識をInstagramの写真に応用してみましょう。結論として、次の3つにフォーカスすると、何も考えずに撮るより、センスのある写真を撮ることができます。

  • 誰が、どんなシーンで使うのか?
  • 商品を使うと、どんな気持ちになれるのか?
  • 商品の魅力は何か?

誰が、どんなシーンで使うのか?

日本酒を室内と屋外で撮影した写真の比較

左は室内の白壁の前で撮影していて余白も少ないので、お酒の銘柄にしか目がいきません。一方、右は屋外で撮影しているので、アウトドアでお酒も楽しんでいるシチュエーションが伝わります。ほかにも、照明を落とした部屋にキャンドルを灯し、オシャレなグラスを選べば、高級感が出ますよね。

無形サービスの写真選びの考え方を示した解説スライド

無形のサービスでも、写真選びの本質は同じです。例えばパソコンを撮影するなら、自分(自社)らしさは何か、お客様はどんな雰囲気が好きなのかを考えて撮りましょう。開放感を出すなら、海が見える場所での作業風景や観葉植物のある空間。硬派な雰囲気なら、テーブルを整理整頓して撮影する。人を入れれば、どんな雰囲気の人がいるのかも伝えられます。

商品を使うと、どんな気持ちになれるのか?

商品を使ったときの気持ちが伝わる撮影例の比較

どちらも同じ商品ですが、左は物を写しただけ、右はイメージも反映させています。1つ1万円ほどするスキンケア用品で、ただ物を写しただけでは、ドラッグストアで売っているものとの違いがわかりません。透明のガラステーブルやパールの小物と一緒に撮影すると優美な雰囲気になり、使っているときの気持ちが伝わるイメージ写真に仕上がります。

日焼け止めを海を背景に撮影するのも、「海でもUV対策ができます」、つまり「日焼けを気にせず海を楽しめますよ」と伝えているのですね。

商品の魅力は何か?

商品の機能性を伝える写真とデザイン性を伝える写真の比較

機能性が魅力なのか、デザインが魅力なのかで、伝えるべき写真は変わります。スキンケアの洗顔フォームなら、パッケージだけでなく、ふわふわの泡を乗せたほうが気持ちよさそうだと伝わります。デザインが魅力なら、一番綺麗に見えるアングルで撮影しましょう。

私が好きなのは、Apple社のスタイリッシュな世界観です。パソコンのボディがどれくらい持ち運びやすいのか、それでいてパワーがどれほどあるのか。公式サイトを見ているだけで、ライフスタイル(特にビジネス面)がスマートになりそうな雰囲気が伝わってきます。

センスがいいと感じられるアカウントにするために

Instagramのセンスについての解説スライド

大切なのは、センスとは何かを理解し、投稿の企画を考えたうえで、

  • × いい感じの1枚の写真をアップすること
  • ◯ コンセプトに合った写真を投稿し続け、世界観をつくること

です。今、センスがいいと感じられるInstagramアカウントには、次の4つが求められます。

  1. 世界観を選ぶ
  2. 統一感のルールを決める
  3. 写真の構図・加工を整える
  4. 情報編集力を持つ
理想のお客様が集まるアカウントの4要素(世界観・統一感・構図加工・情報編集)

よくある質問(FAQ)

Q
センスは生まれつきの才能ですか?
A
水野学さんの『センスは知識からはじまる』によると、センスとは数値化できない事象の良し悪しを判断し、最適化する能力で、知識にもとづく予測です。才能ではなく知識で磨けるもの、と考えると取り組みやすくなります。
Q
Instagramの写真センスを磨くには、何から始めればいいですか?
A
まずは「普通」を知ることです。自分にとっていいと思う写真・よくないと思う写真をたくさん見て、基準をつくりましょう。撮影するときは、誰がどんなシーンで使うのか、使うとどんな気持ちになれるのか、商品の魅力は何かの3つを考えると、写真が変わります。
Q
センスのいいInstagramアカウントにするには?
A
いい感じの1枚をアップすることではなく、コンセプトに合った写真を投稿し続けて世界観をつくることです。世界観を選び、統一感のルールを決め、写真の構図・加工を整え、情報を編集する。この4つがそろったアカウントが求められています。

まとめ

センスは才能ではなく、知識から磨けるものです。まずは「普通」を知って自分の基準をつくり、王道と流行の共通項を探しながら知識を増やしていきましょう。Instagramでは、誰がどんなシーンで使うのか、使うとどんな気持ちになれるのか、商品の魅力は何かを考えて撮影し、コンセプトに合った写真で世界観をつくり続けることが大切です。

本日の内容が一つでも参考になれば嬉しいです。ご一読いただき、ありがとうございました!

上村菜穂 プロフィール写真
著者プロフィール|上村菜穂(株式会社PR NET 代表取締役)

マーケティングの本質×SNSのトレンドを掛け合わせた、SNSからの女性集客を専門としている。14歳でメールマガジンを始め、8ヶ月で20,000人の登録を達成(当時の歴代最年少記録)。個人・法人の500件以上のSNSアカウントを個別に指導。これまでの登壇・研修先は、ダイハツ工業・東芝テック・ロート製薬・POLA・楽天大学(楽天グループ)・東京大学・東京都中小企業振興公社・各地商工会議所など。全国で延べ15,000名以上へ講演・研修を実施している。詳しいプロフィールはこちら。

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