執筆:上村菜穂(株式会社PR NET 代表取締役|大手企業・公的機関で延べ15,000名以上にSNS研修を実施)

💡 結論サマリー(30秒でわかる本記事の答え)

発信する相手を絞っても、見てくれる人は減りません。絞るからこそ「自分のことだ」と届きます。

よほどのニッチでない限り、絞った先にもお客様になりうる人は何万人といます。そして同じ「わかる!」という反応でも、相手の理解度はまったく違います。ブログでもInstagram(インスタグラム)でも、誰に向けて書くのか・その人はどこまで知っているのかを決めてから書くことで、伝える内容を正しく選べるようになります。

📖 この記事でわかること
  • 「絞ると見られなくなる」が誤解である理由
  • 同じ反応でも理解度が違う3つのパターン
  • 相手を決めると発信が変わる2つの理由
  • 相手の知識量に合わせて書くコツ

「発信をするときは、誰に向けて書いているのかをイメージしましょう」

SNS集客セミナーやInstagram集客セミナーでこうお伝えすると、反応は大きく2つに分かれます。

反応 受講生さんの声
A 「そうそう!」とうなずく
B 「なんでだろう?みんなに広く届けたほうがいいと思う!」

実際に、「絞ったら見てくれる人が少なくなりませんか?だから私は、みんなに響くようにしたほうがいいと思います」とおっしゃった方がいました。理由をお聞きすると、「見てほしい人を絞ると、それ以外の人に見られなくなるからです」とのこと。

確かに、そう感じてしまうかもしれません。疑問を持てるのは大切なことなので、この回答について数字を使って考えてみました。

絞っても絞っても、マーケットは大きすぎる理由

たくさんの人が行き交う街のイメージ写真

よほどニッチな中のニッチでない限り、絞った先にもお客様になりうる人は何万人、何十万人、もしかしたら何百万人といるかもしれません。

ニッチとは

ニッチは「隙間」と訳され、規模の小さい市場のことを指します。「マス(大衆)」の対義語です。

日本の総人口は約1億2,000万人(総務省統計局の人口推計)。つまり、人口のたった1%でも約120万人です。個人事業主や小規模な会社にとって、1%の人でさえ自分一人や自社だけで対応するには限界があるでしょう。

マニアックなニッチの例(読み飛ばしてもOKです)

ここで、本当にニッチな例を挙げてみます。「マニアックだなぁ」とツッコミながら、ご自身のビジネスがここまでマニアックなのか比べながら読んでみてください。私は大学が工学部の建築学科だったので、建築の例でお話しします。

東京駅を設計した建築家・辰野金吾氏。その師匠にあたるのが、明治10年(1877年)に来日したイギリス人建築家、ジョサイア・コンドル氏です。コンドル氏が来日して教えてくれたからこそ、今の日本の西洋建築があるといわれます。

コンドル氏には有名なお弟子さんが4人いて、辰野金吾氏はその一人。そしてもう一人が曾禰達蔵氏です。曾禰氏ももちろん偉大な建築家ですが、明治から昭和初期に活躍した方ということもあり、インターネット上の情報はとても少ないのです。

建築学科を卒業した人なら辰野氏やコンドル氏の名前は聞いたことがあるはずですが、東京駅が好きな人でも、よほどでない限りこのお二人を知らないのではないでしょうか。曾禰氏にいたっては、建築学科の授業でさえ「あまり有名ではないのですが、曾禰さんという建築家もいます」とさらりと紹介されたくらいでした。

曾禰氏を専門にしたビジネスとなると、もはやビジネスではなく研究の領域です。ここまで絞ると、確かに市場は狭くなりますよね。

逆にいえば、ご自身のビジネスは「絞ったところで、必要としてくれる人がたくさんいそう!」と感じていただけたのではないでしょうか。私も人口から計算してみて、個人でできることは絞っても絞っても、どれだけ大きなマーケットと可能性があるのかを実感しました。

同じ「わかる!」でも、相手の理解度は3つに分かれる

話を聞いてうなずく女性のイメージ写真

では次に、「誰に向けて書いているのかをイメージしましょう」という言葉に「そうそう!」とうなずいたAの人を見てみます。実は、同じ反応でもパターンが3つあるのです。

パターン どんな人か
A-1 どこかで聞いたことがあるからうなずいた人(知識として知っている、または知って実践中)
A-2 すでに実践していて、実感もしている人
A-3 実感していて、なぜ大切なのかを論理的に説明できる人

A-2の人なら、「誰に伝えるかを考えずに書いていたときより、いいね数やPV数が増えました」「相手を決めてから書いたら、書きやすくなりました」といった実感を持っているでしょう。

A-3の人は、そこから一歩踏み込んで理由まで語れます。たとえば私なら、こんなふうに続けます。

A-3の例:相手を決めることが大事な2つの理由

私自身は以前から誰に向けて書くかを意識していたので、「意識してから何倍になりました」とは言いにくいのが正直なところです。ただ、この考え方をお伝えしたお客様からは、次のようなお声をいただいています。

  • Instagramのフォロワーが月100人も増えなかったのが、月300人増えるようになった
  • これまで集客ができなかった人が、月5人集客できた
  • 数千円のイベント集客しかできなかった人が、万単位のセミナーを販売できるようになった

※成果はご受講当時の一例であり、同様の成果を保証するものではありません。

そして、相手を決めることが大事な理由は主に2つあります。

  1. 書くときにイメージしやすくなるから:相手がどこまで知っていて、どこから知らないのかを具体的に想像できると、伝える内容の取捨選択ができる
  2. ブログなら、Googleも「ユーザー第一」を掲げているから:Googleが掲げる10の事実の1つめは「ユーザーに焦点を絞れば、他のものはみな後からついてくる。」

ここからわかるのは、SEOの細かいテクニック以上に、まず読者のことを考えるべきだということ。日本の検索はGoogleが大半を占めており、Yahoo! JAPANの検索もGoogleの技術を使っているので、この考え方はほぼすべての検索に当てはまります。

こうして並べると、同じ反応をした人でも理解度はまったく違うことが伝わったでしょうか。だからこそ、届けたい相手がこの分野についてどこまで知っていて、何を知らないのかを想定して書く必要があるのです。

専門外のことは、誰でも「知らない人」になる

文章は私の専門分野なのでA-3の例として語れますが、専門外になると私もA-1にすら届きません。

たとえば「一粒万倍日」。数年前までの私は、「今日は一粒万倍日です!新しいことを始めましょう!」と言われても、まず「いちりゅうまんばいび…って何?」と漢字に変換できず、「新年の目標のようなテンションで〝新しいことを始めましょう〟と言われても、論理が飛びすぎていてわからない!」という状態でした。

専門分野でなければ、知らないことはたくさんあります。あなたが当たり前だと思っている言葉も、届けたい相手にとっては初めて聞く言葉かもしれません。

相手の決め方を知りたい方へ

届けたい相手の具体的な決め方(ペルソナの作り方)や、ターゲットとの違いはペルソナとターゲットの違い|集客できるペルソナの決め方とよくある間違い3つで詳しく解説しています。

よくある質問

Q
発信する相手を絞ると、見てくれる人が減りませんか?
A
よほどニッチな分野でない限り、減りません。日本の人口の1%でも約120万人です。むしろ絞ることで「自分のことだ」と感じてもらいやすくなり、反応してくれる人が増えます。
Q
誰に向けて書くかは、どうやって決めればいいですか?
A
年齢や性別だけでなく、悩みや知識量まで具体的にした「一人」を決めるのがおすすめです。詳しい決め方はペルソナとターゲットの違いの記事でお伝えしています。
Q
相手の理解度はどう想定すればいいですか?
A
「この分野のどこまでを知っていて、どこから知らないか」を書き出してみましょう。専門用語を使うか、前提から説明するかは、その線引きで決まります。
Q
SEOのためにも、相手を決めたほうがいいのですか?
A
はい。Googleは「ユーザーに焦点を絞れば、他のものはみな後からついてくる」と掲げています。細かいテクニックより、まず読者にとって役立つかを考えることが大切です。

まとめ

  • 絞っても、その先には何万人ものお客様候補がいる
  • 同じ「わかる!」でも、理解度は3パターンある
  • 相手の知識量を想定すると、伝える内容を正しく選べる

この記事をここまで読んでくださったあなたは、ぜひ誰に届けたいのか、その人は自分の伝えたいことについてどのくらい知っているのかを具体的にイメージして書いてみてください。時間はかかっても、ついてくる結果があるはずです。

上村菜穂 プロフィール写真
著者プロフィール|上村菜穂(株式会社PR NET 代表取締役)

マーケティングの本質×SNSのトレンドを掛け合わせた、SNSからの女性集客を専門としている。14歳でメールマガジンを始め、8ヶ月で20,000人の登録を達成(当時の歴代最年少記録)。個人・法人の500件以上のSNSアカウントを個別に指導。これまでの登壇・研修先は、ダイハツ工業・東芝テック・ロート製薬・POLA・楽天大学(楽天グループ)・東京大学・東京都中小企業振興公社・各地商工会議所など。全国で延べ15,000名以上へ講演・研修を実施している。詳しいプロフィールはこちら。

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