執筆:上村菜穂(株式会社PR NET 代表取締役|大手企業・公的機関で延べ15,000名以上にSNS研修を実施)

💡 結論サマリー(30秒でわかる本記事の答え)

インスタが苦手という気持ちは、3つに分けると次にやることが決まります。①写真や動画のビジュアルを考えるのが苦手 ②発信する内容が思いつかない ③Instagramという場の雰囲気そのものが苦手。この3つは、原因も対処法もまったく別のものなのです。

苦手なまま立ち止まってしまう一番の理由は、「苦手」の一言でまとめてしまうことにあります。どこに嫌気がさしているのかを分けるだけで、手をつける場所が見えてくるでしょう。

📖 この記事でわかること
  • 「インスタが苦手」を3つのタイプに切り分ける方法
  • 統一感(世界観)をつくるときに、最初に決める2つのこと
  • 写真を撮る前に決めておきたい3つの問い
  • 発信する内容が思いつかないときに立ち返る場所
  • Instagramの雰囲気が苦手なときの、タイムラインの整え方

「インスタが苦手」を3つに切り分ける

これまでプライベートであまりSNSをしてこなかった方や、お仕事のためでなければ発信をしたくない方は、SNSに苦手意識を感じやすいものです。

私も苦手なことは「苦手……!」と一言で返したくなるのですが、どこに嫌気がさしているのかを細かく突き詰めることが大切だと思っています。一言でまとめてしまうと、打つ手が見えなくなってしまうからです。

Instagramの場合、苦手だと感じている方は、次の3つのいずれかに当てはまっていることが多いです。

苦手のタイプ よくある本音 向き合う場所
① ビジュアルが苦手 統一感がないのは分かるけれど、直し方が分からない 統一感のルールを言語化して決める
② 発信内容が苦手 話せるけれど、書こうとすると手が止まる 誰に向けて書くのかを一人に決める
③ 雰囲気が苦手 見ていて疲れる。Instagramそのものが好きになれない タイムラインに流れてくるものを入れ替える

どれに当てはまるでしょうか。ひとつずつ見ていきましょう。

ビジュアルを考えるのが苦手なとき

InstagramはX(旧Twitter)やFacebookなどのSNSよりも、〝魅せる〟要素が強いSNSです。

今は文字入れ投稿も定着し、情報収集のメディアとして使われる場面が増えました。それでも、一定の見やすさと清潔感は求められます。写真そのものの美しさというより、全体から受け取る印象がそろっているかが見られている、という感覚に近いでしょう。

顔をはっきり写すことよりも、光や背景で雰囲気を伝える見せ方が選ばれることも増えました。その清潔感の正体になるのが、世界観なのです。

とはいえ、本音はこうではないでしょうか。「どのように世界観を作っていったらいいか分からない」「統一感がないという自覚はあるけれど、どのように直したらいいのか分からない」。

では、どうするか。答えはとてもシンプルで、統一感は「あるかないか」ではなく「つくるもの」だと考えることです。そして、そのルールを言葉にして決めてしまいます。感覚のままにしておくから、毎回ゼロから迷ってしまうのです。

Instagramの世界観について解説したセミナースライド

世界観とは「この人といえばこれ」と思われるもの

世界観は「世界」を「観る」と書くように、「この人のイメージといえばこれ」「このブランドといえばこれ」と思われるもののことです。Instagramでは、投稿の1枚目のお写真がそのイメージをつくる勝負どころになります。

スライド「世界観とは」投稿の1枚目の写真が世界観を作るという解説

私がよく例えるのは、デパートコスメの『CHANEL』と『JILLSTUART』です。パッケージの色も、デザインの方向性も、思い浮かぶ人物像もまったく違いますよね。どちらが良い悪いではなく、それぞれの「らしさ」が決まっているのです。

ブランドごとにイメージが異なることを説明したスライド

この例がぴんとこなければ、ご自身がよく知っているブランドで考えてみてください。たとえばユニクロは究極の普段着として設計されているので、多くの人が選べます。一方でZARAは、トレンドの効いたデザインが多く、着る人を少し選ぶ印象があります。

スライド ユニクロのコンセプト「LifeWear」を説明する店舗の写真

つまり、どのブランドにも「といえばこういうイメージ」があるのです。認知度のあるブランドでさえ、日々その世界観を守り続ける努力をしています。だからこそ、まだ名前を知られていない私たちが手を抜いてはいけないのだと思うのです。

世界観のイメージを決める3ステップ

イメージをどうしようかと悩むときは、次の順番で決めていきます。

  1. Step 1:雑誌・インテリア・コスメ・アパレルなど、自分が好きなもの、詳しいものでブランドを比較してみる
  2. Step 2:下のキーワードから、近いものを選ぶ
  3. Step 3:選んだキーワードのイメージどおりの写真を選ぶ

好きなジャンルのブランドを比較して世界観のイメージを決める手順のスライド

キーワードの例は、ナチュラル/シンプル/クール/スタイリッシュ/キュート/エレガント/フェミニン/ゴージャス/自然体/親しみやすい/明るい/元気/可愛い/華やか/女性らしい/優しい/柔らかい、など。

キーワードのイメージどおりの写真にそろえるだけで、世界観はぐっとつくりやすくなります。

写真を撮る前に決めておきたい3つの問い

いざ撮影しようというときに、どう撮るかは非常に重要です。ポイントは次の3つです。

  • 誰が、どのようなシーンで使うのか
  • 使うと、どのような気持ちになれるのか
  • その商品の魅力は、機能性なのかデザイン性なのか

撮影前に決める3つのポイントをまとめたスライド

同じお酒を撮影するにしても、白い壁の前で撮れば「いかにも撮影用です」という印象になってしまいます。そこで効いてくるのが、使うシーンです。

誰がどのようなシーンで使うのかを考える撮影の作例スライド

少し暗めの室内で、キャンドルと一緒にグラスへワインを注げば、デートの時間にも、ひとりの贅沢な時間にも見えます(この違いはグラスの数で出します)。反対に、屋外でウイスキーのボトルや缶ビールを写せば、これからみんなで集まる時間に見えるでしょう。晴天ならなおさら、アクティブな印象になります。

この考え方は、形のないサービスでも同じように使えます。

スライド「無形サービスの場合も写真選びの本質は同じ」PCを撮影した作例

2つめは、使ったときの気持ちです。生活に必要だから持つのか、自分を表すアイテムとして持つのかで、伝えるべきものが変わります。

商品を使うとどんな気持ちになれるのかを考える撮影の作例スライド

たとえばバッグです。荷物を入れて運ぶだけなら、数千円のものでも十分に役目を果たしてくれます。それでも高価なバッグを選ぶのは、ファッションアイテムという枠を超えて、ひとつの自己表現になっているからでしょう。

私自身も、カジュアルなお店に行くときと、お天気のいい日にフレンチを楽しみたいときとでは、選ぶバッグが違います。

つまり、バッグを主役にするなら、一緒に写す小物・持つ人のファッション・どんな空間にいるか、そのすべてが世界観なのです。主役を使うときの気持ちに近い小物と空間を選び、何を伝えたいのかを明確にしてみましょう。

機能性を伝えるのか、デザイン性を伝えるのか

3つめは、発信したい魅力が機能性なのか、デザイン性なのかという分かれ道です。ここが決まると、撮るべき写真も決まります。

スライド「3、商品の魅力とは?」機能性を伝える投稿とデザイン性を伝える投稿の比較

少し前の例ですが、一世を風靡したiPodで考えてみましょう。私は陸上部だったので、競技場にはiPodを聴きながらストレッチやジョギングをしている人が溢れていたことを、懐かしく思い出します。

スライド「コンセプトが上手くいって売れた商品」2001年発売の第1世代iPod

iPodが時代を彩った理由のひとつは、スティーブ・ジョブズが「1,000曲をポケットに」と伝えたことにあります。容量の数値ではなく、その人の生活がどう変わるかを言い切ったのです(なお2022年5月に最後のモデルの販売終了が発表され、シリーズは幕を閉じました)。

スライド iPodの「1000曲をポケットに」と他社の「5GBのMP3プレイヤー」の訴求比較

この魅力を伝えるなら、たくさんのCDの中に小さなiPodが置かれている写真が効きます。一方、2004年に発売されたiPod miniのように、小型でカラーバリエーションが豊富な商品であれば、色ごとに「使っている人」を見せる写真が作れます。

伝える魅力 写真に写すもの 伝わること
機能性 使う前と後の比較、大きさが分かる対比、使っている手元 これがあると、何がどれだけ楽になるのか
デザイン性 色や質感のバリエーション、持っている人、置かれている空間 これを選ぶ人は、どんな人に見えるのか

「この商品の機能の魅力は?」「この商品のデザインの魅力は?」と問い、それに合った写真を選ぶ。それだけで、一目で価値が伝わる投稿に近づきます。

発信する内容が思いつかないとき

「話せるけれど書けない」と悩む方は多いです。では、なぜこの現象が起きるのでしょうか。

「話せるけれど書けない」が起こる理由

答えは、話すときは相手が目の前にいるからです。「この人にはこう伝えよう」と、無自覚のうちに脳が判断してくれているのです。

たとえば同じTikTokの説明でも、幼稚園生の子どもと、40代の女性と、80代の方とでは、表現の仕方が変わりますよね。80代の方に「YouTubeが短くなったもの」「Instagramの動画版」と伝えても、ハテナが増えてしまうでしょう。

今のは極端な例ですが、同じ40代の女性でも、一人として同じ人はいません。ライフスタイルも、関心ごとも、それぞれ違います。相手が決まっていないから、言葉が選べなくなるのです。

目の前のお客様を、一人だけ思い浮かべる

ですから、発信するときは、これまで関わってきたお客様の顔をひとつだけ思い出してみてください。その方がどんな情報を知りたがっていたのか、何に困っていたのかにフォーカスすると、書くことは自然に決まります。

誰に向けて書くのかをもう少し深く整理したい方は、ペルソナとターゲットの違い。集客効果に雲泥の差が生じる理由もあわせてお読みください。

自分の当たり前が、誰かの知りたいこと

スキルを身につけて専門家になるほど、当たり前のことが増えていきます。だからこそ、何を伝えたらいいのか分からなくなってしまうのですよね。

けれど、あなたの知識や経験を必要としている人はたくさんいます。自分にとって当たり前でも、読んでくれる人が必要としていることなら、それは価値なのです。

発信するとき、目の前にあるのはパソコンやスマートフォンですが、その先にいるのは〝人〟だということを、忘れずにいたいものです。

なお、投稿ネタが決まったあと、文字数やデザインの観点で具体的な作り方を知りたい場合は、文字入れ投稿の文字数とつくり方にまとめています。

Instagramの雰囲気そのものが苦手なとき

3つめのタイプは、発信の技術ではなく、場そのものが苦手だと感じている場合です。この場合は、まずフォローする人を変えるところから始めるのがおすすめです。

流れてくるものは、自分の行動でできている

Instagramのアルゴリズムは進化していて、自分が求めている情報が流れてくるようになっています。私のグルメのアカウントでは、カフェよりレストランをよく見るのでレストランの投稿が届きますし、見ているエリアも横浜と東京が中心なので、その2つのエリアばかりが並びます。

好みのフォントで作られたアカウントをよく見ていれば、似た雰囲気のアカウントも出てきてくれます。ですから「Instagramが苦手だな」と感じているとき、原因はたいてい次のどちらかです。

  • 自分が実は、そういう投稿を見てしまっている(そのぶん似たものが届く)
  • プライベートの知人と相互フォローで繋がっていて、好きではない雰囲気の投稿が多く流れてくる

好きな情報だけを集める場所をつくる

後者の場合、フォローを外して人間関係にひびが入っては、何のためのSNSなのか分からなくなってしまいます。そこでおすすめしたいのが、誰の目も気にしない鍵アカウントを1つ作り、好きな情報だけを集めてみることです。

「Instagramって、こんな面白い情報があるんだ」と思えたら、そこからで大丈夫です。苦手なものを好きになろうとするより、好きなものだけが流れてくる状態を先につくるほうが、ずっと近道なのです。

もちろん、学校や会社に校風・社風があるように、SNSにもそれぞれの空気があります。TikTokはエンタメ系が多く、X(旧Twitter)は本音を気軽に発信している方が多い印象です。その中でInstagramは、過激さや品のなさが比較的少ない場だと感じていて、私は使い心地の良さを感じています。

よくある質問(FAQ)

Q
インスタが苦手なままでも、集客に使えますか?
A
使えます。苦手意識をなくすことより、迷う場所を減らすほうが先です。世界観のルールを言葉で決めておけば、投稿のたびに感覚で悩まずに済みます。
Q
写真を撮るのが苦手です。文字入れの投稿だけでも大丈夫でしょうか。
A
文字入れ投稿だけでも成り立ちます。ただし文字入れにも世界観はあり、フォント・色・余白の取り方でイメージが決まります。ルールを決める作業は、写真でも文字でも同じなのです。
Q
統一感を出すには、何から決めればいいですか?
A
イメージを表すキーワードを1つ決めるところからです。ナチュラル、エレガント、親しみやすいなど、言葉が決まると写真も色も選びやすくなります。先に写真を選ぼうとすると、毎回ぶれてしまいます。
Q
発信する内容が、どうしても思いつきません。
A
ネタを探すのではなく、相手を一人に決めてみてください。これまでのお客様が何に困っていたかを思い出すと、書くことは自然と出てきます。自分の当たり前が、その方の知りたいことであることは多いのです。
Q
知人のフォローを外すのは気が引けます。どうすればいいでしょうか。
A
無理に外す必要はありません。情報収集のための鍵アカウントを別に持ち、そこで好きなアカウントだけをフォローする方法があります。人間関係を保ったまま、見える景色だけを変えられます。

まとめ

「インスタが苦手」を3つに分けると、やることが変わります。ビジュアルが苦手ならルールを言語化する。内容が思いつかないなら相手を一人に決める。雰囲気が苦手ならタイムラインを入れ替える。

リアルと違い、オンラインはコミュニケーションが減ります。リアルなら「いい人そう」と伝わる雰囲気も、画面越しでは届きにくくなってしまうのです。だからこそ、感覚ではなく、決めごとで積み上げていくことが効いてきます。

まずは今日、キーワードを1つだけ決めてみてください。そこからで大丈夫です。本日の内容が何かひとつでも参考になれば幸いです。

上村菜穂 プロフィール写真
著者プロフィール|上村菜穂(株式会社PR NET 代表取締役)

マーケティングの本質×SNSのトレンドを掛け合わせた、SNSからの女性集客を専門としている。14歳でメールマガジンを始め、8ヶ月で20,000人の登録を達成(当時の歴代最年少記録)。個人・法人の500件以上のSNSアカウントを個別に指導。これまでの登壇・研修先は、ダイハツ工業・東芝テック・ロート製薬・POLA・楽天大学(楽天グループ)・東京大学・東京都中小企業振興公社・各地商工会議所など。全国で延べ15,000名以上へ講演・研修を実施している。詳しいプロフィールはこちら

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