執筆:上村菜穂(株式会社PR NET 代表取締役|大手企業・公的機関で延べ15,000名以上にSNS研修を実施)
雑誌が「完成された一冊」なら、SNSは「今の自分をそのまま届けられる場所」です。
Instagram(インスタグラム)をはじめとするSNSには、①情報を今すぐ届けられる ②動画で人柄まで伝わる ③自分の意見を率直に語れる ④発見タブで興味・関心の近い人とつながれる、という4つの強みがあります。雑誌の魅力を認めたうえで、個人でも使いこなせるSNSの特性を発信に生かしましょう。
- 雑誌とSNSの違い(比較表)
- 個人の発信でSNSが強い4つの理由
- ストーリーズとリールの使い分け
- 本音の発信で「閲覧者」ではなく「ファン」をつくる考え方
まず、大前提として誤解していただきたくないのは、雑誌がよくなくて、Instagramがいいわけではないということです。
私も雑誌が大好きで、「モデルさん綺麗だなぁ」「お写真素敵だなぁ」「こんな商品があるんだ!」と、いつもたくさんの憧れや気づきをもらっています。
ただ、個人でビジネスをしている私たちが雑誌に掲載されて事業を大きく伸ばすのは、ごく一部の人を除いて簡単ではありませんよね。
それなら、個人でもできるInstagramの特性を理解して、上手に活用しましょうというのがこの記事の主旨です。雑誌の魅力が大きいことを前提に、SNSとの違いを整理してみます。
雑誌とSNSの違いを比較表で整理
| 比べるポイント | 雑誌 | SNS(Instagram) |
|---|---|---|
| 情報の速さ | 発刊時に内容が決まる(月刊なら1か月単位) | 思い立ったその日に届けられる |
| 表現の形 | プロの写真と文章 | 写真・文章に加えて動画も使える |
| 発信者の声 | 編集部としての視点が中心 | 個人の意見や本音を伝えやすい |
| 届く相手 | その雑誌を手に取った読者 | 発見タブなどを通じ、興味・関心の近い人に届く |
| 個人の使いやすさ | 掲載されるハードルが高い | 誰でも今日から始められる |
ここからは、表の中でも個人の発信に特に効いてくる4つの違いを順番にお伝えします。
SNSは情報が新鮮でタイムリー
これはInstagramに限らずSNS全般に言えることですが、情報の速さは紙面にはない強みです。特に毎日発刊される新聞ではなく、月に1回の雑誌となると、スピードの差はさらに大きくなります。
2020年のコロナ禍のように、社会の状況は予想もしない形で変わることがあります。季節のファッションやメイクのように前もって準備できる情報もありますが、何がどう変わるかわからない時代だからこそ、〝旬の情報=今の情報〟の価値は高くなっています。
「自分の関わる業界で、今の旬の話題はなんだろう?」「どんな情報がタイムリーなんだろう?」とアンテナを張っておくと、発信のネタにも困りにくくなります。
私自身、運用担当をしていた駆け出しのYouTube番組で、チャンネル登録者が500人ほどの時期に、タイムリーな話題を扱うことで2週間ほどで800人ほど増やせた経験があります。スタート時期にこれだけ増えることは珍しく、情報のタイムリーさの大切さを実感した出来事でした。
SNSは動画で人柄まで伝わる
写真は雑誌でも見られますが(しかも雑誌の写真はプロの作品です)、紙媒体ではQRコードを読み込んでもらうなどしないと動画は見られません。写真ではなく動画だからこその魅力は、次の3つです。
動画ならではの3つの魅力
- リアル感:写り込んだものを消したり、顔や体型を加工したりが写真ほど簡単ではないぶん、ありのままが伝わる
- リズム感:シーンの切り替えや音楽で、テンポよく見てもらえる
- 多角的に見える:ひとつの角度からではなく、立体的に、さまざまな視点で伝えられる
文章だと読み手が自分のペースで読みますが、動画では発信者の間の取り方や話し方がそのまま伝わります。
たとえば内科・皮膚科医の友利新先生のことは、YouTubeを見る前から「綺麗な女医の先生だな」と存じ上げていました。でも動画を見て、謙虚でとても明るいお人柄が伝わってきて、すっかりファンになりました。動画は「情報」だけでなく「人柄」まで届けてくれるのです。
ストーリーズとリールはどちらを使うべき?
Instagramの動画機能について、よくいただくご質問が「ストーリーズとリール、どちらを使えばいいですか?」というもの。答えは用途が違うので、どちらも使いましょうです。
| 機能 | 特徴 | 向いている使い方 |
|---|---|---|
| ストーリーズ | 24時間で消える(ハイライトで残すこともできる)。フォロワーの画面上部に表示される | 日常のシェア、気軽なお知らせ、告知のリマインド |
| リール | 音楽と組み合わせてテンポよく見せられる。フォローしていない人にも届きやすい | 新しい人に見つけてもらう入口づくり |
ストーリーズは宣伝をしてもしつこくなりにくく、すでにつながっている人との関係を温めるのに向いています。リールは「いつもの投稿より多くの人に届いた!」という声が多い、新しい出会いのための機能です。
個人のSNSは自分の意見を伝えられる
意見を自由に、素直に伝えられるのは、SNSの大きな魅力です。どんな価値観もいい・悪いではなく「相性」の問題ですが、ブランド力のある企業だと、なかなか本音を出しにくいこともあるでしょう。
個人の意見を伝えること、そしてその意見にオリジナリティがあることで、「閲覧者」ではなく「ファン」をつくれるのです。
「これはないな」と感じたものも、なぜそう感じるのか、自分はどんなスタンスで、その商品やサービスはどんな立ち位置だから合わないのか。理由まで伝えれば、ただ批判したくて書いているわけではないことが伝わります。
以前、美容室で読んだ雑誌『LDK the Beauty』が、スキンケアアイテムを実際に試して「おすすめできる商品・できない商品」をはっきり公表していたときは驚きました。雑誌が辛口の評価を載せる印象がなかったので、読者ファーストの姿勢と、その企画を通した編集部の勇気に感動したのを覚えています。
もちろん、感情的に批判することは、心を込めて商品やサービスを作っている人に失礼なのでおすすめしません。理由と一緒に「私はこう思います」と本音で発信することが大切です。
Instagramは発見タブで興味・関心の近い人とつながれる
これはInstagramならではの強みです。Facebookは、もともと実際に知り合った人同士がつながることの多いSNS。X(旧Twitter)は、自分で「この人!」という相手を見つけてフォローし、情報を集めるのが得意なSNSです。
今はどのSNSも「おすすめ」表示を強めていますが、Instagramには発見タブという、まだフォローしていない人の投稿に出会うための場所が、画面の中にはっきり用意されています。
※上の画像は2021年当時の発見タブの画面です。現在は表示の仕方が変わっている部分があります。
以前参加したInstagram社の講演会では、発見タブについて次のように説明されていました。
発見タブは、あなたの〝好きな情報〟をAIが判断して、まだフォローしていないクリエイター(発信しているユーザー)とあなたを結びつけることを大切にしています。
発見タブがあること、そしてその仕組みが進化し続けていることが、Instagramの魅力です。発刊時に内容が決まる紙面では、一人ひとりに合わせて中身を変えることはできませんよね。
こうした特徴を理解したうえで、「誰に・何を届けるアカウントなのか」を設計してから発信すると、きちんと集客につながるフォロワーさんが増えていきます。
よくある質問
個人でビジネスをしていても、雑誌への掲載を目指したほうがいいですか?
雑誌に載ることで得られる信頼感は大きいので、チャンスがあればぜひ挑戦してください。ただ、掲載されるかどうかは自分では決められません。自分でコントロールできる発信の土台としてSNSを育てておくと、どちらの場合にも生きてきます。
ストーリーズとリールは、どちらを優先すればいいですか?
役割が違うので、どちらも使うのがおすすめです。ストーリーズはすでにつながっている人との関係を温める場所、リールはまだ出会っていない人に見つけてもらう入口です。
発見タブに載ると、フォロワーは増えますか?
興味・関心の近い人に知ってもらうきっかけにはなります。ただ、見てもらったあとに「フォローしたい」と思ってもらえるかは、プロフィールや過去の投稿の設計しだいです。発見タブに載るための条件はInstagramの発見タブの仕組みと載るための条件で詳しく解説しています。
SNSで本音を発信すると、炎上しませんか?
感情的な批判は避け、理由と自分のスタンスを添えて伝えることが大切です。「私はこう思います」と主語を自分にして書けば、意見の違う人がいても対立ではなく「相性」として受け取ってもらいやすくなります。
まとめ
雑誌には雑誌の、SNSにはSNSの魅力があります。個人の発信で生かしたいSNSの強みは、次の4つです。
- 今の情報をすぐに届けられる
- 動画で人柄まで伝わる
- 自分の意見を本音で語れる
- 発見タブで興味・関心の近い人とつながれる
雑誌から受け取る憧れや気づきも大切にしながら、個人だからこそできる発信で、あなたのファンを増やしていきましょう。
マーケティングの本質×SNSのトレンドを掛け合わせた、SNSからの女性集客を専門としている。14歳でメールマガジンを始め、8ヶ月で20,000人の登録を達成(当時の歴代最年少記録)。個人・法人の500件以上のSNSアカウントを個別に指導。これまでの登壇・研修先は、ダイハツ工業・東芝テック・ロート製薬・POLA・楽天大学(楽天グループ)・東京大学・東京都中小企業振興公社・各地商工会議所など。全国で延べ15,000名以上へ講演・研修を実施している。詳しいプロフィールはこちら。