執筆:上村菜穂(株式会社PR NET 代表取締役|大手企業・公的機関で延べ15,000名以上にSNS研修を実施)

※この記事は2020年9月に書いたものを、読みやすく整えています。

💡 結論サマリー(30秒でわかる本記事の答え)

NiziUがデビュー前から多くのファンを集めたのは、オーディションの過程が公開され、メンバーのストーリーと喜怒哀楽のすべてを見られたからです。

人は、結果だけではなくそこに至るまでの過程を知ったときに、会ったことのない相手でもファンになります。私たちの発信でも、うまくいった話だけでなく、ぶつかった壁と、それを乗り越えてきたことを伝えることが大切です。ただし、ファンづくりの前には「認知を広げる」段階があることも忘れないようにしましょう。

📖 この記事でわかること
  • NiziUがデビュー前から人気になった3つの理由
  • 人が「認知」から「ファン」になっていく流れ
  • J.Y. Parkさんのフィードバックから学べること
  • ファンづくりの前に欠かせない「認知」の考え方

2020年、デビュー前から大きな話題になっていたのが、ガールズグループのNiziU(ニジュー)です。私が知ったのは2020年の夏ごろでしたが、小学生や中学生の娘さんがいるママさんの間では、すでによく知られた存在でした。

YouTubeで「デビューしたNiziU」と紹介されていたので、てっきりデビュー済みだと思っていましたが、調べてみると、正式なデビューは2020年12月。プレデビューが6月30日で、それからわずか数か月で、デビュー前とは思えないほどの話題を集めていたのです。

会ったことのない人がファンになっていく過程には、ファンづくりのヒントがたくさんあると感じ、そのポイントを整理しました。

NiziUがデビュー前から人気になった3つの理由

NiziUが多くの人の心をつかんだ理由は、大きく分けて次の3つだと考えています。

  1. オーディションの様子が公開され、メンバーに感情移入できる
  2. 喜怒哀楽のあるエピソードが凝縮され、観ている人の心を動かす
  3. プロデューサーJ.Y. Parkさんのコメントが秀逸で、プロ意識やマネジメントの学びにもなる

一つずつ見ていきましょう。

オーディションの公開で、メンバーに感情移入できる

NiziUは、オーディション番組「Nizi Project(虹プロ)」から生まれたグループです。オーディションの様子は動画配信サービスで公開され、テレビの情報番組で紹介されたことをきっかけに一気に知られるようになりました。私はYouTubeで観ていました。

選考は2019年に始まり、地域予選から東京合宿、そして韓国合宿を経て、1万人を超える応募者の中から9人が選ばれました。

主に10代の女の子たちが、一つの夢に向かって全身全霊でぶつかっていく姿は、涙なしでは観られません。以前のグループでの活動を事情があって諦め、最後の望みとして挑戦している子。ダンスを誰よりも応援してくれていたおじいさんを、晴れ舞台の前に亡くした子。親元を離れ、韓国で何年も練習生として努力を続けてきた子。

10代でも一人ひとりにさまざまな人生のストーリーがあり、背景を知るたびに、グッと心をつかまれるのです。

ファンづくりの視点で見ると

NiziUのオーディションを観ると、今まさに進んでいるグループの姿から、次のことをノンフィクションで学べます。

・人はどのように「認知」から「ファン」になっていくのか

・ファンになるために「相手を知る」「相手の背景を知る」とは、具体的にどういうことなのか

喜怒哀楽のエピソードが、観ている人の心を動かす

地域予選の段階から、注目すべき子にはスポットが当たり、「どんな女の子なのか」「どんな想いで受けているのか」がわかります。1万人以上から26人に絞られた東京合宿になると、一人ひとりの個性がさらに見えてきます。

本気で向き合うからこその、厳しいフィードバック

ダンスや歌の素人の私が「わあ、すごい!」と思ったパフォーマンスでも、J.Y. Parkさんは厳しい一言をかけることがあります。その言葉は、目の前のできる・できない以上に、「本気で努力してきたか」「自分らしさを表現できているか」に向けられていて、ここまで人を見抜く力はどう培われたのだろうと思わずにはいられませんでした。

歌が抜群に上手い子のパフォーマンスに、周りの子たちが圧倒されていたときのこと。画面越しの私も同じ気持ちでしたが、J.Y. Parkさんは「君が歌が上手いのは十分知っている。でも今の歌は、自分を見せびらかしているようだ」という趣旨の指摘をしていました(記憶をもとにしているため、言葉は正確ではありません)。

目の前の実力だけでなく、内に秘めたものまで見抜いてしまう。そこには、本気で良くなってほしい、期待しているからこその愛のあるフィードバックを感じました。

周りを応援できる人柄が、画面越しに伝わる

合宿では、お互いのパフォーマンスを見るのが当たり前になります。パフォーマンスをしている本人だけでなく、ほかの子がどんな表情で観ているのかに注目すると、そこに本当の人柄が表れている気がしました。

例えば、のちにリーダーになったマコさんは、ダンスも歌もトップクラスの実力者でありながら、ほかの子がうまくいくとニコニコと笑顔で見守っていました。何年も待ち望んだ夢の途中で、自分が落ちるかもしれない厳しい環境の中でも、周りの喜びを純粋に喜べる。それを当時19歳の女の子がしていることに、感動しました。

リクさんも、自分が褒められるときは落ち着いて受け止めているように見えるのに、仲の良い子が褒められると号泣して喜んでいました。本気の人しか残っていないオーディションなのに、ギスギスした空気がなく、ライバル以上の仲間として応援し合っている。J.Y. Parkさんは審査で人間性も重視していましたが、「こんなにできた女の子たちがいるんだ」と感心しました。

うまくいった場面だけでは、心は動かない

叱られて悔しい思いをしても真正面から向き合って乗り越える姿、ダンスや歌を純粋に楽しむ姿、努力を重ねて褒められ、喜ぶ姿。喜怒哀楽のすべての場面を観られることが、まさに本物のドラマでした。

もし、デビューした9人がうまくいって褒められている場面だけが公開されていたら、観る人はここまで心を奪われなかったはずです。

自分の発信に置き換えてみる

ここで一歩、自分ごとにして立ち止まってみましょう。最近の発信で、これまでぶつかってきたことや、それを乗り越えてきたことを伝えていますか?

実は、私自身がそうした発信をしばらくしていなかったことに気づきました。「20代で独立して、大手企業の研修もしていてすごいですね」「才能があるから独立できたんですね」と言っていただけるのはありがたいのですが、実際は才能なんてなく、はじめは売上が上がらずに大変でした。

そう感じてもらえるのは、受け取る方の感性ではなく、私の伝え方がかっこつけてばかりだったからだと反省し、学生時代にずっとビリだったころの話を、久しぶりにInstagram(インスタグラム)に投稿しました。

フォロワーさんは、いつ、どのタイミングで増えるかわかりません。ずっと落ち込んでいる姿を見せるのはおすすめしませんが、乗り越えたことは伝えることが大切だと、NiziUを観て感じたのです。

J.Y. Parkさんのフィードバックに学ぶプロ意識

プロデューサーのJ.Y. Park(パク・ジニョン)さんは、韓国出身の音楽プロデューサーです。TWICEや2PMなどを手がけ、自身も歌手・ダンサーとして活動してきたほか、国内外のアーティストに楽曲を提供してきました。

そのコメント力は、ぜひ動画で観ていただきたいのですが、起業家の田端信太郎さんがYouTubeで紹介していた視点が印象的でした。要約すると、次のような内容です。

  • 後から教えられることと、後からでは教えられないことを見抜いている
  • まず褒めてから厳しいフィードバックをし、最後に「期待しているよ。でもできるかどうかは君次第だ」と伝える
  • 10代の女の子たちに、プロとは何か、プロ意識とは何かを伝えている

表情だけで伝わるコミュニケーションの豊かさも、エンターテインメントとして面白いポイントです。

プロ意識は、ファンをつくるために持つものではなく、プロ意識を持った結果として、後からファンがついてくる。その順番なのだと思います。一流の人がどんな言葉と態度で指導し、それを女の子たちがどう受け止めて表現していくのか。私たち大人にとっても、好きなことをプロとして仕事にするにはどうすればいいのかを考えさせてくれる、一押しの教材です。

ファンづくりの前に欠かせない「認知」

最後に、一つ補足させてください。ファンづくりはビジネスでとても大切な要素で、ファンがいることで、同業者との比較から抜け出せます。

ただし、ファンになってもらう前に、まずは知ってもらうことがとても重要です。NiziUのように全国放送で、しかもシリーズで紹介してもらえることは、そうそうありません。つまり、ファンづくりの前には「認知を広げる」段階があり、ビジネスには欠かせません。

エステサロンや料理教室などで、接客で十分に成果を出してきた方からも、「会えばファンになってもらえるのに」「一度来ていただければ良さが伝わるのに」という声をよく聞きます。まさにそこが、多くの人がつまずくポイントです。

段階 やること
認知 SNSなどで、まずは知ってもらう
興味・共感 発信を通して、価値観や人柄を知ってもらう
ファン ストーリーや乗り越えてきた経験を知り、応援したくなる

あなたらしさを生かして認知を広げる方法は、メールマガジンでも発信しています。

よくある質問(FAQ)

Q
NiziUはなぜ、デビュー前から人気になったのですか?
A
オーディション番組「Nizi Project」で、選考の過程がそのまま公開されたことが大きな理由です。メンバー一人ひとりの背景や努力、喜怒哀楽のすべてを見られたことで、視聴者が感情移入し、デビュー前からファンが生まれました。
Q
会ったことがない人にファンになってもらうには、どうすればいいですか?
A
結果だけでなく、そこに至るまでの過程やストーリーを伝えることです。うまくいった話だけでなく、ぶつかった壁や、それを乗り越えてきた経験を発信すると、人柄が伝わり、会ったことがない人でも応援したくなります。
Q
失敗談や苦労話は発信してもいいのでしょうか?
A
乗り越えた経験であれば、ぜひ発信してください。ずっと落ち込んでいる姿を見せるのはおすすめしませんが、乗り越えた話は読む人の勇気になり、「この人を応援したい」と思ってもらうきっかけになります。
Q
ファンづくりと認知、どちらが先ですか?
A
認知が先です。どれだけ魅力的でも、知ってもらえなければファンにはなってもらえません。まずは認知を広げ、そのうえで発信を通してファンになってもらう、という順番で考えましょう。

まとめ

  • NiziUは、オーディションの過程を公開したことで、デビュー前からファンを集めた
  • 人は、結果だけでなくストーリーと喜怒哀楽を知ったときに、ファンになる
  • 発信では、うまくいった話だけでなく、乗り越えてきたことも伝える
  • プロ意識を持った結果として、後からファンがついてくる
  • ファンづくりの前には、認知を広げる段階が欠かせない
上村菜穂 プロフィール写真
著者プロフィール|上村菜穂(株式会社PR NET 代表取締役)

マーケティングの本質×SNSのトレンドを掛け合わせた、SNSからの女性集客を専門としている。14歳でメールマガジンを始め、8ヶ月で20,000人の登録を達成(当時の歴代最年少記録)。個人・法人の500件以上のSNSアカウントを個別に指導。これまでの登壇・研修先は、ダイハツ工業・東芝テック・ロート製薬・POLA・楽天大学(楽天グループ)・東京大学・東京都中小企業振興公社・各地商工会議所など。全国で延べ15,000名以上へ講演・研修を実施している。詳しいプロフィールはこちら。

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