執筆:上村菜穂(株式会社PR NET 代表取締役|大手企業・公的機関で延べ15,000名以上にSNS研修を実施)
発信力とは、たくさん言葉を出せる力ではなく、届ける言葉を選べる力。そして発信を続ける力とは、すべての言葉を受け取らない力です。SNSは言葉を発するコストがあまりにも低いからこそ、「本当にこの言葉は相手に届ける必要があるだろうか」と一度考えるくらいで、ちょうどいいのだと思っています。
そして、心ない言葉を受け取ってしまったときは、その言葉を全部、自分への正しい評価として受け取らなくて大丈夫です。直した方がいいことがあるなら受け取る。相手の価値観や感情だけで投げかけられた言葉まで、自分の中に住まわせる必要はありません。
- なぜSNSでは、会ったこともない人に強い言葉を投げられてしまうのか
- 「もし1文字10円だったら」と考えてみる、言葉の選び方
- 心ない言葉が届いたときに、受け取るものと受け取らないものの分け方
- 仕事の発信で「煽る言葉」を使う前に考えておきたいこと
SNSを開いた瞬間に、誰かが誰かを強い言葉で責めている投稿が流れてきて、少し気持ちが重くなる。そんな経験は、ありませんか。SNSで批判を受けて落ち込むことも、発信を続けていれば誰にでも起こります。
最近、SNSの「言葉」について考える出来事がありました。親しい友人が、ある投稿をきっかけに、知らない人から批判的なDMを受け取ったのです。
友人自身が、何か問題を起こしたわけではありません。たまたま、そのときSNS上で本人の意図していない形で言葉が切り取られ、誹謗中傷されてしまっている人と知り合いで、その人をかばうような内容を投稿したそうです。それだけで、批判の矛先が友人にまで向いてしまいました。
その話を聞きながら、私は二つのことを感じました。
SNSの良さは、誰でも発信できること
一つは、SNSの良さについてです。SNSは、誰でも簡単に発信できる場所です。名前や肩書きを出さなくても、自分の意見を書くことができます。立場に関係なく発信できるからこそ、これまで表に出にくかった声が届くこともあります。
だから私は、「批判を書いてはいけない」「本音を言わない方がいい」とは思っていません。違う意見があるのは当然ですし、ときには問題を指摘することも必要なのです。
なぜ、会ったこともない人に強い言葉を投げられるのか
もう一つは、少し不思議に思ったことです。なぜ、会ったこともない人に対して、こんなにも簡単に強い言葉を投げかけられるのだろう、と。
「思ったこと」と、「相手本人にその言葉を届けること」。その距離が、とても近くなっているように感じます。
街を歩いているときには、言わないこと
たとえば街を歩いていて、「あの人の服、自分の好みではないな」と思うことはあるかもしれません。でも、わざわざその人のところへ行って「その服、変ですよ」とは言わない方がほとんどではないでしょうか。
SNSでは、それができてしまいます。数秒でコメントを書けますし、DMも送れます。しかも、相手の表情を見ることもありません。
もし、言葉が1文字10円だったら
だからこそ、ときどきこんなことを考えます。もし、SNSに書き込む言葉が、1文字10円だったらどうだろう、と。
「ありえない」
「こんな人、信じられない」
「なんでこんなことするの」
100文字書いたら、1,000円です。
その1,000円を払ってまで、知らない相手にその言葉を届けたいでしょうか。
もちろん、お金を払えば何を書いてもいい、という意味ではありません。ただ、SNSは言葉を発するコストがあまりにも低いのです。だからこそ、「本当に、この言葉は相手に届ける必要があるだろうか」と一度考えるくらいで、ちょうどいいのかもしれません。
心ない言葉を受け取ってしまったときは
そして、ここまで書いて、もう一つ考えました。このメールマガジンを読んでくださっている方の中には、「自分が誰かを傷つけること」よりも、「自分が心ない言葉を投げかけられたらどうしよう」と考える方の方が、多そうだなと。
SNSで仕事をしていると、発信する機会が増えます。発信が届くようになればなるほど、必ずしも自分を好意的に見てくれる人ばかりではなくなります。
「そんな考え方はおかしい」「あなたのやり方は間違っている」「こんな人だとは思わなかった」。そんな言葉が届くこともあるかもしれません。
私も、そういう言葉を見れば普通に落ち込みます。頭では「全員に好かれることはない」と分かっていても、心はそんなに簡単ではないのです。
受け取るものと、受け取らないものを分ける
だから私は、批判を受けたときに、その言葉を全部、自分への正しい評価として受け取らなくていいと思っています。
その中に、自分が直した方がいいことがあるなら受け取る。誤解を招く伝え方をしていたなら、次から直せばいい。けれど、相手の価値観や感情だけで投げかけられた言葉まで、自分の中に抱え続ける必要はありません。
SNSに書かれた言葉には、「自分が何をしたか」だけではなく、「相手が何を大切にしているか」「相手がどんな状態だったか」「相手が何を許せないと思っているか」も混ざっているのです。
自分の心を守ることも、立派な選択
- すぐに返信しなくてもいい
- 読むのをやめてもいい
- 必要なら、削除やブロックをしてもいい
SNSを続けるために、自分の心を守ることも、立派な選択です。
「気にしなければいい」と言われることもあります。でも、私はそれも少し違う気がしています。心ない言葉を受け取れば、傷つくことはあります。傷つかない人になる必要はありません。ただ、その言葉を必要以上に、自分の中に住まわせない。それは意識してもいいのではないでしょうか。
仕事の発信でも、同じことが言えます
そして、これは私たちが仕事でSNSを使うときにも、同じことが言えます。
「まだ○○しているんですか」「絶対に○○するべきです」「これを知らない人は損しています」。こうした煽る言葉は、SNSではよく見かけます。目を引きますし、反応も取れるかもしれません。
でも、その言葉の向こうには、それぞれ違う事情を持った人がいます。すぐに行動できない事情がある人もいれば、別の考え方を選んでいる人もいるのです。
強い言葉を一切使ってはいけない、ということではありません。ただ、長く信頼される発信をしたいのであれば、「何を言うか」と同じくらい、「どう言うか」「本当に言う必要があるか」を考えることも大切だと思います。
発信を続ける力とは、すべての言葉を受け取らない力
発信力とは、たくさん言葉を出せる力ではなく、届ける言葉を選べる力でもある。そして、発信を続ける力とは、すべての言葉を受け取らない力でもある。そんなふうに思っています。
SNS全体を、誰もが安心して発信できる場所に変えることは、簡単ではないでしょう。本音がなくなってしまうSNSも、私は少し違う気がします。
でも、SNS全体は変えられなくても、今日、自分が発する一言は選べます。そして、今日、自分が受け取る言葉も選べます。
よくある質問(FAQ)
まとめ
言葉は無料で発信できます。でも、その言葉を受け取る人の心まで、軽いわけではありません。
だから私は、誰かに届ける言葉も、自分の中に受け入れる言葉も、少し丁寧に選んでいきたいと思っています。
著者プロフィール|上村菜穂(株式会社PR NET 代表取締役)

マーケティングの本質×SNSのトレンドを掛け合わせた、SNSからの女性集客を専門としている。14歳でメールマガジンを始め、8ヶ月で20,000人の登録を達成(当時の歴代最年少記録)。個人・法人の500件以上のSNSアカウントを個別に指導し、全国で延べ15,000名以上へ講演・研修を実施。詳しいプロフィールはこちら。
🎯 発信を「続けられる形」にするヒントをお届けしています
毎週月曜22:00配信。広告費0円でSNS集客・女性集客を実現するPR戦略を、実際の現場の話とあわせてお送りしています。セミナーの開催情報も、メールマガジンで最初にお知らせします。
講演・研修・取材のご依頼は、株式会社PR NETのお問い合わせフォームよりお願いいたします。