執筆:上村菜穂(株式会社PR NET 代表取締役|大手企業・公的機関で延べ15,000名以上にSNS研修を実施)

💡 結論サマリー(30秒でわかる本記事の答え)

発信力とは、たくさん言葉を出せる力ではなく、届ける言葉を選べる力。そして発信を続ける力とは、すべての言葉を受け取らない力です。SNSは言葉を発するコストがあまりにも低いからこそ、「本当にこの言葉は相手に届ける必要があるだろうか」と一度考えるくらいで、ちょうどいいのだと思っています。

そして、心ない言葉を受け取ってしまったときは、その言葉を全部、自分への正しい評価として受け取らなくて大丈夫です。直した方がいいことがあるなら受け取る。相手の価値観や感情だけで投げかけられた言葉まで、自分の中に住まわせる必要はありません。

📖 この記事でわかること
  • なぜSNSでは、会ったこともない人に強い言葉を投げられてしまうのか
  • 「もし1文字10円だったら」と考えてみる、言葉の選び方
  • 心ない言葉が届いたときに、受け取るものと受け取らないものの分け方
  • 仕事の発信で「煽る言葉」を使う前に考えておきたいこと

SNSを開いた瞬間に、誰かが誰かを強い言葉で責めている投稿が流れてきて、少し気持ちが重くなる。そんな経験は、ありませんか。SNSで批判を受けて落ち込むことも、発信を続けていれば誰にでも起こります。

最近、SNSの「言葉」について考える出来事がありました。親しい友人が、ある投稿をきっかけに、知らない人から批判的なDMを受け取ったのです。

友人自身が、何か問題を起こしたわけではありません。たまたま、そのときSNS上で本人の意図していない形で言葉が切り取られ、誹謗中傷されてしまっている人と知り合いで、その人をかばうような内容を投稿したそうです。それだけで、批判の矛先が友人にまで向いてしまいました。

その話を聞きながら、私は二つのことを感じました。

SNSの良さは、誰でも発信できること

一つは、SNSの良さについてです。SNSは、誰でも簡単に発信できる場所です。名前や肩書きを出さなくても、自分の意見を書くことができます。立場に関係なく発信できるからこそ、これまで表に出にくかった声が届くこともあります。

だから私は、「批判を書いてはいけない」「本音を言わない方がいい」とは思っていません。違う意見があるのは当然ですし、ときには問題を指摘することも必要なのです。

なぜ、会ったこともない人に強い言葉を投げられるのか

もう一つは、少し不思議に思ったことです。なぜ、会ったこともない人に対して、こんなにも簡単に強い言葉を投げかけられるのだろう、と。

「思ったこと」と、「相手本人にその言葉を届けること」。その距離が、とても近くなっているように感じます。

街を歩いているときには、言わないこと

たとえば街を歩いていて、「あの人の服、自分の好みではないな」と思うことはあるかもしれません。でも、わざわざその人のところへ行って「その服、変ですよ」とは言わない方がほとんどではないでしょうか。

SNSでは、それができてしまいます。数秒でコメントを書けますし、DMも送れます。しかも、相手の表情を見ることもありません。

もし、言葉が1文字10円だったら

だからこそ、ときどきこんなことを考えます。もし、SNSに書き込む言葉が、1文字10円だったらどうだろう、と。

「ありえない」
「こんな人、信じられない」
「なんでこんなことするの」

100文字書いたら、1,000円です。

その1,000円を払ってまで、知らない相手にその言葉を届けたいでしょうか。

もちろん、お金を払えば何を書いてもいい、という意味ではありません。ただ、SNSは言葉を発するコストがあまりにも低いのです。だからこそ、「本当に、この言葉は相手に届ける必要があるだろうか」と一度考えるくらいで、ちょうどいいのかもしれません。

心ない言葉を受け取ってしまったときは

そして、ここまで書いて、もう一つ考えました。このメールマガジンを読んでくださっている方の中には、「自分が誰かを傷つけること」よりも、「自分が心ない言葉を投げかけられたらどうしよう」と考える方の方が、多そうだなと。

SNSで仕事をしていると、発信する機会が増えます。発信が届くようになればなるほど、必ずしも自分を好意的に見てくれる人ばかりではなくなります。

「そんな考え方はおかしい」「あなたのやり方は間違っている」「こんな人だとは思わなかった」。そんな言葉が届くこともあるかもしれません。

私も、そういう言葉を見れば普通に落ち込みます。頭では「全員に好かれることはない」と分かっていても、心はそんなに簡単ではないのです。

受け取るものと、受け取らないものを分ける

だから私は、批判を受けたときに、その言葉を全部、自分への正しい評価として受け取らなくていいと思っています。

その中に、自分が直した方がいいことがあるなら受け取る。誤解を招く伝え方をしていたなら、次から直せばいい。けれど、相手の価値観や感情だけで投げかけられた言葉まで、自分の中に抱え続ける必要はありません。

SNSに書かれた言葉には、「自分が何をしたか」だけではなく、「相手が何を大切にしているか」「相手がどんな状態だったか」「相手が何を許せないと思っているか」も混ざっているのです。

自分の心を守ることも、立派な選択

  • すぐに返信しなくてもいい
  • 読むのをやめてもいい
  • 必要なら、削除やブロックをしてもいい

SNSを続けるために、自分の心を守ることも、立派な選択です。

「気にしなければいい」と言われることもあります。でも、私はそれも少し違う気がしています。心ない言葉を受け取れば、傷つくことはあります。傷つかない人になる必要はありません。ただ、その言葉を必要以上に、自分の中に住まわせない。それは意識してもいいのではないでしょうか。

仕事の発信でも、同じことが言えます

そして、これは私たちが仕事でSNSを使うときにも、同じことが言えます。

「まだ○○しているんですか」「絶対に○○するべきです」「これを知らない人は損しています」。こうした煽る言葉は、SNSではよく見かけます。目を引きますし、反応も取れるかもしれません。

でも、その言葉の向こうには、それぞれ違う事情を持った人がいます。すぐに行動できない事情がある人もいれば、別の考え方を選んでいる人もいるのです。

強い言葉を一切使ってはいけない、ということではありません。ただ、長く信頼される発信をしたいのであれば、「何を言うか」と同じくらい、「どう言うか」「本当に言う必要があるか」を考えることも大切だと思います。

発信を続ける力とは、すべての言葉を受け取らない力

発信力とは、たくさん言葉を出せる力ではなく、届ける言葉を選べる力でもある。そして、発信を続ける力とは、すべての言葉を受け取らない力でもある。そんなふうに思っています。

SNS全体を、誰もが安心して発信できる場所に変えることは、簡単ではないでしょう。本音がなくなってしまうSNSも、私は少し違う気がします。

でも、SNS全体は変えられなくても、今日、自分が発する一言は選べます。そして、今日、自分が受け取る言葉も選べます。

よくある質問(FAQ)

Q批判的なコメントやDMが届いたら、返信した方がいいですか?
Aすぐに返信しなくて大丈夫です。読むのをやめてもいいですし、必要なら削除やブロックをしてもかまいません。SNSを続けるために自分の心を守ることは、逃げではなく立派な選択です。
Q受け取るべき批判と、受け取らなくていい言葉はどう見分けますか?
Aひとつの目安は「自分が直せることが書かれているか」です。誤解を招く伝え方をしていたなら、次から直せばいい。一方で、相手の価値観や感情だけで投げかけられた言葉は、自分の中に抱え続ける必要はありません。
Q「気にしなければいい」と言われますが、うまくできません。
A傷つかない人になる必要はありません。心ない言葉を受け取れば、傷つくことはあります。目指したいのは「気にしないこと」ではなく、その言葉を必要以上に自分の中に住まわせないことです。
Q仕事の発信では、強く煽る言葉を使った方が反応は取れますか?
A一時的に目を引くことはあります。ただ、その言葉の向こうには、それぞれ違う事情を持った人がいます。長く信頼される発信をしたいのであれば、「何を言うか」と同じくらい「どう言うか」「本当に言う必要があるか」を考えたいところです。

まとめ

言葉は無料で発信できます。でも、その言葉を受け取る人の心まで、軽いわけではありません。

だから私は、誰かに届ける言葉も、自分の中に受け入れる言葉も、少し丁寧に選んでいきたいと思っています。

著者プロフィール|上村菜穂(株式会社PR NET 代表取締役)

上村菜穂のInstagramプロフィール画面(@nahouemura)

マーケティングの本質×SNSのトレンドを掛け合わせた、SNSからの女性集客を専門としている。14歳でメールマガジンを始め、8ヶ月で20,000人の登録を達成(当時の歴代最年少記録)。個人・法人の500件以上のSNSアカウントを個別に指導し、全国で延べ15,000名以上へ講演・研修を実施。詳しいプロフィールはこちら

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