お客様の声は、「感情と悩み」は受け取り、「解決策の提案」には主導権を渡さない。この線を1本引くだけで、発信はブレなくなります。
正反対の声が同時に届いたときは、「今回は誰に届けるか」に立ち返って選びます。全員に70点を届けようとする発信より、決めた誰かに120点を届ける発信のほうが、深く心に残ります。
- 正反対のお客様の声が届いたとき、発信がブレてしまう理由
- 聞くべき声(感情・悩み)と、聞かなくていい声(解決策の提案)の見分け方
- お客様の声を発信に活かすための3つの基準
「全員に応えたい」が、発信を弱くする
発信を続けていると、必ず出会う場面があります。ひとつの行動に対して、お客様から真逆の言葉が同時に届く場面です。
無形のサービスなら、「もっとわかりやすくしてほしい」という声と、「内容が簡単すぎる」という声が、同じタイミングで届くことがあります。
私自身、研修講師として、お申し込みが800名を超えるセミナーで登壇することもあります。Instagram(インスタグラム)をはじめとするSNS集客やAI活用をテーマにお伝えするとき、参加者のレベルは本当にさまざまです。
「早すぎて、何を言っているのかわからなかった」
「もっとレベルの高い内容を教えてほしかった」
この両方の声を、同じ日にいただいたことがあります。
最初はとても戸惑いました。どちらの声に応えればいいのか。全員に満足していただきたいという気持ちが、私の軸を少しずつぼやかしていったのです。
声が届けば届くほど、受け止めきれなくなっていく。そんな感覚に、心当たりはありませんか。
これは、意志が弱いからでも、プロ意識が足りないからでもありません。「誰に届けるか」という軸が定まっていないときに、誰にでも起きることなのです。
お客様の声を「聞く」ことと「すべてに応える」ことは別もの
マーケティングの世界でよく引用される、こんな言葉があります。
「顧客に何が欲しいかと尋ねていたら、彼らは『もっと速い馬が欲しい』と答えていただろう」
※自動車メーカーの創業者、ヘンリー・フォードが語ったとされる言葉(本人の発言かどうかは定かではありません)
お客様の声は大切です。けれど、声を聞くことと、すべての声にそのまま応えることは、まったく別の話です。
数々の研修を経て、私がようやく腑に落ちたのは、「目的最適」で設計するという考え方でした。
研修の場合、最初に確認するのは主催者の目的です。このイベントは何のために開くのか。誰を、どんな状態にしたいのか。そこをしっかり理解したうえで、「今回は誰に届けるか」を自分の中で決めます。
そうすると、「多少満足いただけない方がいるのは、仕方がない」と言い切れるようになります。
これは冷たさではなく、プロとしての誠実さです。全員に70点を届けようとする発信より、決めた誰かに120点を届ける発信のほうが、人の心に深く残ります。
聞くべき声と、聞かなくていい声の見分け方
現場で私が実際に使っている境界線を、具体例とともに整理します。まずは全体像です。
聞くべき声:感情と悩みの言葉
感情が動いている言葉は、お客様の「本当の課題」を教えてくれます。コンテンツを考える材料として、積極的に拾ってください。
「インスタが難しくて、始める前から疲れてしまう」
本質:失敗への恐れ、完璧主義のプレッシャー
活かし方:「完璧じゃなくていい」という安心感を届けるコンテンツをつくる
「時間がなくて、発信が続かない」
本質:優先順位の迷い、自分への自信のなさ
活かし方:短い時間で続けられる仕組みや、続けられた人の事例を届ける
「フォロワーはいるのに、売上につながらない」
本質:発信と販売の導線がつながっていない不安
活かし方:集客から購入までの流れを、図解や事例でわかりやすく伝える
感情が動いている言葉の裏には、必ず「本当に解決したいこと」が隠れています。その声は、ていねいに拾ってください。
聞かなくていい声:解決策の提案
一見「ご意見」に見えますが、実はお客様が自分なりに考えた「手段の要望」です。発信や商品の設計は、プロであるあなたが担う部分です。
「もっと投稿の頻度を上げてほしい」
本質:情報をもっと受け取りたいという期待
受け止め方:頻度を上げることが正解とは限りません。先に見直すのは、投稿の質と導線の設計です
「価格をもっと下げてほしい」
本質:価値がまだ十分に伝わっていない、購入にリスクを感じている
受け止め方:値下げは解決策になりません。信頼と実績が伝わる設計を見直します
「こういうテーマで書いてほしい」
本質:その分野への関心や悩みがある
受け止め方:リクエストどおりに動くと、発信の軸がブレていきます。テーマの背景にある感情だけを参考にします
患者さんが「この薬を処方してほしい」と言っても、医師がそのまま従わないのと同じです。解決策を設計するのは、プロであるあなたの役割です。
お客様の声を発信に活かす3つの基準
誰に届けるかを先に決める
すべての声に応えようとする前に、「今回の発信は誰のためか」をはっきりさせます。届ける相手が決まれば、自然と聞くべき声が見えてきます。
感情と悩みの声を材料にする
お客様が「どんな言葉で悩みを表現しているか」は、発信のコピーや切り口にそのまま活かせます。感情の声は、コンテンツの質を上げるいちばんの材料です。
解決策の主導権は渡さない
一人起業家・個人事業主の発信がブレるいちばんの原因は、お客様の「手段の要望」に引っ張られることです。解決策を設計する主導権は、いつも自分が持っておきましょう。
よくある質問(FAQ)
まとめ
お客様の声を聞くことは、発信の基本です。けれど、すべての声に応えようとすると、発信はかえって弱くなります。
一言で表すなら、こうです。
「感情は受け取る。解決策の主導権は渡さない」
全員に刺さる発信は存在しません。でも、特定の誰かに深く刺さる発信は、必ずつくれます。
あなたの発信に「主導権」はありますか?ぜひ一度、見直してみてください。
マーケティングの本質×SNSのトレンドを掛け合わせた、SNSからの女性集客を専門としている。14歳でメールマガジンを始め、8ヶ月で20,000人の登録を達成(当時の歴代最年少記録)。個人・法人の500件以上のSNSアカウントを個別に指導。これまでの登壇・研修先は、ダイハツ工業・東芝テック・ロート製薬・POLA・楽天大学(楽天グループ)・東京大学・東京都中小企業振興公社・各地商工会議所など。全国で延べ15,000名以上へ講演・研修を実施している。詳しいプロフィールはこちら。
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