執筆:上村菜穂(株式会社PR NET 代表取締役|大手企業・公的機関で延べ15,000名以上にSNS研修を実施)
個人で仕事をしていて諦めたくなるのは、能力が足りないからではありません。挑戦している人にしか、その苦しさは訪れないからです。やりたいことがあって自分で描くから、大変だと分かっていても挑戦する。だからこそ、達成感の手前に苦しさがあるのです。
この記事では、私自身が「辞めたい」と思ったときに実際にやってきた4つのことを、順番にお伝えします。
- 一人で事業をしていて、諦めたくなる瞬間に何が起きているのか
- 立ち直るために私が実際にやってきた4つのこと
- 「誰に相談するか」で解決のスピードが変わる理由
個人で仕事をして、しっかりと価値を提供したいと思うものの、自分のビジネスを諦めたくなったこと。ないでしょうか。
私は正直、何度もあります。
正確に言うと「辛い、やめたい」という気持ちと、「でもここで逃げたくない」という気持ちの、相反する葛藤でした。
たとえば私は個人プレイヤーになりがちなので、年下でも上手にチームをつくれている方を見ては「みんなが簡単そうにできていることが、私にはできない」とさみしくなったり。
「どうやったら仲間ってできるのかな」「私は協調性があまりないのかな」と思ったり。
努力をしても営業がうまく決まらなかったり。ビジネスパートナーができたと思ったら、その方の目的が違うところにあったと知って残念だったり。
こちらが好意のつもりでしたことが、相手の担当者の方にマイナスに伝わってしまい、「そんなつもりではなくて、喜んでほしかっただけなのに」と切なくなったり。
いろいろとあったのですが、あるとき考えてみたのです。「逃げたい」と思っても「逃げる」とはならなかったのは、なぜだったのだろう、と。
喜んでくださったお客様たちのことを思い出す
いちばん大きな答えは、とてもシンプルでした。
自分のしたことで、幸せそうに笑顔でお礼を伝えてくださったり、その後の報告をくださるお客様がいるから。それに尽きるのです。
この瞬間が本当に幸せで、「私が伝えたことは、こんなに喜んでもらえるんだ」と思うと、嬉しくて嬉しくてたまりません。
何度もそういう経験をさせていただくうちに、一時のスランプで気持ちが左右されなくなりました。
「今は守りの時期なだけ。だからここでしっかり見直して、準備をして、冷静になって次に備えよう」と割り切れるようになったのです。
お客様の存在は、本当に大きい。心の救いだなと思います。
自分が仕事を始めた原点を見つめ直す
もう一つ、自分と向き合ううえで大事にしていることがあります。
そもそも自分は、どうありたいのか。
・なんで、この仕事を始めようと思ったんだろう?
・この仕事を通して、何がしたかったんだろう?
そんなふうに問いかけていると、初心をふと思い出すことがあります。
私はインタビュアーの仕事もしていて、今でも女性起業家の方に、お仕事の原点を伺う機会が多くあります。きっかけを語るときのみなさまの真剣な目や、キラキラした表情は本当に素敵です。
そして似たような事業をされていても、ストーリーは千差万別なのです。
ご自身の人生のなかで触れてきたもの、見てきたものから、熱い想いをかたちにしようと動いている。動いて努力しているからこそ、苦しいこともあるのですよね。
マラソンが分かりやすいたとえだと思っています。
苦しいと分かっている42.195kmに挑戦しているから、苦しい。そしてその先の喜びは、挑戦している人だけが知っています。私はマラソンに出たことがないので、その努力をしていない分、その苦しみも存在しないのです。
ビジネスも同じなのだと思います。
やりたいことがあって、自分で描くから、大変なことがあると分かっていても挑戦する。挑戦しているから、した人だけが味わえる達成感の手前に、苦しいことがある。
だから苦しいのは「点」です。今だけのことで、ずっと続くものではありません。
そんなときは、原点を思い出してみるのはいかがでしょうか。
自分が手助けできる周りの人に親切にしてみる
これは、自信がないときにやっていたことです。
以前、仕事がうまくいかない時期に、プライベートでもショックなことが重なったことがありました。自分への自信は、どんどん沈むばかり。
そんなとき、ふと、少し力になれそうな方の話に真剣に耳を傾けて、たくさん頭を回転させて考えてみたのです。
すると、とても喜んでくださって。感謝の言葉が心に染みました。相手のことを思えば思っただけ、嬉しい言葉が返ってきたのです。
ビジネスではないのでお金は動いていません。それでも「こんなに喜んでもらえて、自分の存在もこんなに肯定してもらえて、ありがたいな」と思えました。
自信が下がっているときこそ、身の回りの方に優しく寄り添ってみる。おすすめです。
とはいえ、こんなことを書きながら、反省していることもあります。
駅を降りたとき、目の不自由な男性が杖をついて横断歩道を渡ろうとされていました。点字ブロックがなく、斜めに逸れてしまったのです。信号は赤で車は止まっていましたが、危ないことに変わりはありません。
「声をかけなきゃ」と思いながら、どこか恥ずかしくてウジウジしているうちに、20代くらいの男性がさっと走っていって、手を引いて歩道まで案内されていました。
その勇敢で思いやりのある行動を目の当たりにして、何もできなかった自分を、しばらく引きずりました。
そして気づいたのです。いざというときに一歩が出なかったのは、日頃から「困っているかも」という方に、すぐ声をかけられていないからだと。
親切は、必要になった瞬間に急に出せるものではないのでしょう。知っている人にも、知らない人にも、日頃からアンテナを張っていられる人になりたいと、改めて思いました。
信頼している人に話を聞いてもらう
やっぱり、最後はこれです。
自分だけで解決できないときは、周りの方の力を借りてしまいます。事業を一緒にしているかどうかに関係なく、同じように夢や目標を持っている方とのつながりは、本当に大切だなと思うのです。
そしてもう一つ。尊敬している方に、声をかけられるくらいの信頼関係ができているかどうか。
ピンチのときに誰でもの意見に振り回されては大変ですし、アドバイスがほしいときは、友人ではなく尊敬している方にお願いしたいものです。この2つを混ぜないことが、案外大事なのだと思います。
先日、親しくしている後輩が急に呼び出してくれて、「話を聞いてほしい」と言ってくれたことがありました。
後から聞くと、いつもは友人や後輩に頼ってしまうけれど、変わりたいタイミングだったので「今までできなかった先輩に話を聞いてもらう」という挑戦をしてみたのだ、とのことでした。
その意図も知らずに私は飛んでいったので、「初挑戦、成功だね」と二人で笑い合いました。
これは自分が相談する側のときも同じです。尊敬している方と、どれくらいの関係性を築けているか。それによって、悩みが解決するまでのスピードは大きく変わるのではないでしょうか。
そのためにも、日頃から相手に喜んでもらえることをしているか。ぜひ意識したいものですね。
よくある質問(FAQ)
何度も諦めたくなるのは、向いていないということですか?
そうとは限りません。記事の中でお伝えしたように、苦しさは挑戦している人にだけ訪れるものだからです。マラソンに出ていない人に、42.195kmの苦しさが訪れないのと同じなのです。
まだお客様が少なく、思い出せる声がありません。
その場合は、3つ目の「周りの方に親切にしてみる」から始めてみてください。お金が動いていなくても、誰かに喜んでもらえた経験は、自信を戻す働きをしてくれます。いただいた感想は、短いものでも必ず残しておくことをおすすめします。
相談できる相手がいないときは、どうすればいいですか?
関係は、必要になってから急には築けません。だからこそ、悩んでいない平時にこそ、尊敬する方に近づいておくことが備えになります。同じように夢や目標を持つ方とのつながりも、同じ役割を果たしてくれます。
4つのうち、どれから試すのがよいでしょうか?
気力が残っていないときは、1つ目(お客様の声を読み返す)が一番かんたんです。少し動けそうなら2つ目の原点、人と会えそうなら3つ目と4つ目へ。順番どおりでなくてかまいません。
まとめ
諦めたくなったときにやってきたことを、4つお伝えしました。
- 喜んでくださったお客様たちのことを思い出す
- 自分が仕事を始めた原点を見つめ直す
- 自分が手助けできる周りの人に親切にしてみる
- 信頼している人に話を聞いてもらう
4つを並べてみると、どれも共通しているのは「人」なのですよね。
一人で仕事をしていると、一人で立て直さなければいけない気がしてきます。けれど実際に立ち直らせてくれたのは、いつも誰かの言葉でした。
苦しいのは「点」です。今日が全部ではありません。
今回はPRのノウハウではなくマインドのお話でしたが、ご相談をいただくことが増えたので書いてみました。何か少しでも力になれば嬉しいです。
マーケティングの本質×SNSのトレンドを掛け合わせた、SNSからの女性集客を専門としている。14歳でメールマガジンを始め、8ヶ月で20,000人の登録を達成(当時の歴代最年少記録)。個人・法人の500件以上のSNSアカウントを個別に指導。これまでの登壇・研修先は、ダイハツ工業・東芝テック・ロート製薬・POLA・楽天大学(楽天グループ)・東京大学・東京都中小企業振興公社・各地商工会議所など。全国で延べ15,000名以上へ講演・研修を実施している。詳しいプロフィールはこちら。
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