執筆:上村菜穂(株式会社PR NET 代表取締役|大手企業・公的機関で延べ15,000名以上にSNS研修を実施)

💡 結論サマリー(30秒でわかる本記事の答え)

2023年から2026年にかけて起きたのは、SNSのトレンドが変わったということではありません。SNSの役割そのものが変わった4年間でした。

ショート動画で「バズる」だけだった時代から、「バズって、信頼を得て、売る」へ。そして情報疲れから距離を取りたい人も同時に増えています。技術が進むほど、最後に価値として残るものは人間的になっていく、というのがこの4年の実感です。

📖 この記事でわかること
  • 2023年から2026年まで、SNSで何がどう変わったのかの全体像
  • Instagram・TikTok・YouTube・Xの役割がどう分かれていったか
  • 「混沌」と「デトックス」が同時に進む2026年のSNSで求められていること
  • AI時代に、発信する側が考えておきたいこと

先日、サロン生さんとのコンサルティングで「最近のSNSのトレンドって何ですか」とご質問をいただきました。お答えしたあとで、そういえばここ数年の変化はどうだったろうと気になり、調べながら思い出してみることにしました。

今回は少し引いた視点で、SNS全体の流れを一緒に整理してみたいと思います。

2023年|ショート動画がすべてを飲み込んだ年

この年は、とにかくショート動画一強でした。

TikTokが圧倒的な勢いで若年層を席巻し、InstagramはReelsを本気で強化して、ほぼTikTokクローンのような状態に。YouTube Shortsは始まったものの、まだ追いつけていませんでした。X(当時のTwitter)はアルゴリズムの変更でバズが起きづらくなり、議論やテキストの文化へと役割をシフトしていきます。

とにかく「ショート動画でバズる」ことが最優先だった年です。

Instagramにとっては、スランプの年でもあった

この年のInstagramは、正直に言えばスランプ期だったと思います。「TikTokと何が違うの」という状態で、治安の良さはInstagramのほうが圧倒的にいいのですが、それでも人を夢中にさせていたのはTikTokだという印象でした。

TikTokに対抗するためにReelsを強化し、あえて似せるという選択をした年。けれど、この迷走があったからこそ、翌年に「Instagramらしさとは何か」を取り戻すことができたのだと思います。

ここで改めてはっきりしたのは、価格ではなく価値で選ばれること、テクニックではなく設計がものを言うことでした。流行っている型を追うだけでは、プラットフォームらしさも、発信者らしさも、必ず失われていきます。

2024年|フォーマットが成熟し、役割が分かれ始めた年

2024年になると、ショート動画は「慣れ」のフェーズに入ります。尺は1分から2〜3分へと延び始め、短ければいいというものでもなくなりました。

Instagramが取り戻した「らしさ」

この年のInstagramは、次の3つで差別化に成功しました。

  • オシャレで洗練された短尺
  • 世界観・審美性・ブランド文脈の再評価
  • 写真×動画×ストーリーズの立体的な設計

TikTokの勢いを理解したうえで、Instagramにしかできない強みを再定義した結果だと言えます。

TikTokが「検索の入口」になった

YouTubeは「ショートで入口をつくり、長尺で深掘りする」という導線を作り始め、TikTokを使ったソーシャル検索が定着していきます。Googleより先にTikTokで調べる、という文化がこの年に根付きました。

つまり2024年に重要になったのは、バズ+世界観+導線という考え方です。

2025年|AIとコマースが本気で入り込んだ年

ここが大きな分岐点です。AI生成コンテンツが一気に増加し、同時に「AIっぽさ」への嫌悪も生まれました。

コマース面では、中国・東南アジア・欧米で急成長していたTikTok Shopが、2025年6月30日に日本でも提供を開始しました。動画やライブ配信から、そのままアプリ内で購入まで完結する流れが日本にも入ってきたことになります。

一方Instagramでは、ブロードキャストチャンネルなどを通じて「狭く深いコミュニティ」志向が強まりました。YouTubeは教育・レビュー・ロングコンテンツで、信頼のプラットフォームとしての地位を確立していきます。

「作れる」より「信じられるか」

この頃から、「作れる」よりも「信じられるかどうか」が、はっきりと差を生み始めました。AIによって、それなりのものは誰でも作れるようになったからです。

「操作された年」ではなく「試された年」

2025年は、SNSが政治や世論に大きな影響を与えたことでも記憶に新しい年でした。ここは少し補足させてください。

よくある捉え方として「SNSが世論を作った」「SNSが操作した」と語られがちですが、私はもう少し違うように見ています。実際に起きていたのは、次の3つが同時に問われたことでした。

  • アルゴリズムが何を広げるのか
  • 人々が何を信じるのか
  • 誰の言葉に耳を傾けるのか

つまり社会全体の判断軸が試された年だった、という捉え方です。

2026年|混沌とデトックスの二極化

そして今、2026年。SNSでは少し不思議な二極化が起きています。

予測不能なトレンドが次々に生まれていく流れと、情報に疲れて距離を取りたくなる流れ。この2つが同時進行しているのです。前者は「Chaos culture(カオス・カルチャー)」、後者は「アテンション・デトックス」などと呼ばれています。

いまユーザーが強く求めているのは、生っぽさと信頼感です。ショート動画は検索・発見・購買の入口として機能し、長尺コンテンツは本当に知りたい人、信じたい人のための場所になっています。Xはエンゲージメントこそ落ちつつも、リアルタイムの議論や専門情報では独自の強さを持っています。

「目立つ」よりも「この人の言葉だと感じられるか」が、ますます重要になっているのだと思います。

この4年の変化を1枚にまとめると

ショート動画の役割 この年の合言葉
2023年 とにかく拡散させる バズる
2024年 世界観と導線を担う オシャレにバズる
2025年 購買までつなげる バズって売る
2026年 入口として機能し、信頼は別で積む バズって、信頼を得て、売る(疲れたらデトックス)

最後に残るものは、どんどん人間的になっている

SNSはどんどん進化しています。でも面白いことに、最後に価値として残るものは、どんどん人間的になっている。そんな感覚があります。

AIを使うかどうかではなく、AIとどう付き合うか。SNSをやるかどうかではなく、SNSにどんな自分を残すか。いまは、そこを考えるフェーズなのだと思います。

よくある質問(FAQ)

Q
2026年のSNSで、いちばん大事なことは何ですか
A
生っぽさと信頼感です。誰でも一定水準のものが作れるようになったぶん、「この人の言葉だと感じられるか」で選ばれるようになりました。目立つことより、信じてもらえることが先に来ます。
Q
ショート動画は、もうやらなくていいのでしょうか
A
やらなくていい、ということではありません。役割が変わっただけです。いまのショート動画は「知ってもらう入口」として機能します。そこから先の、信じてもらう部分は別のコンテンツで積み上げる必要がある、という前提に変わりました。
Q
AIを使って投稿を作るのは、よくないことでしょうか
A
使うかどうかではなく、どう付き合うかだと考えています。読み手が敬遠するのはAIを使ったこと自体ではなく、そこに書き手がいない文章です。視点や体験は自分のもので、整えるところを任せる。この順番であれば違和感は出にくくなります。
Q
発信するSNSは、1つに絞るべきですか
A
この4年で各SNSの役割がはっきり分かれたので、無理にすべてをやる必要はありません。ただし「知ってもらう場所」と「深く伝わる場所」の2つは持っておきたいところです。一人で運用するなら、まず主戦場を1つ決めて、その受け皿を1つ用意する形が現実的です。

まとめ

2023年から2026年までのSNSは、トレンドが移り変わったというより、役割そのものが変わりました。バズるための場所から、信頼を積み上げて選ばれるための場所へ。そして、疲れたら距離を取ることも当たり前になりました。

技術がどれだけ進んでも、最後に効いてくるのは人間的な部分です。だからこそ「じゃあ私たちは、何を信じればいいの」という問いが、いま多くの方の心の中にあるのだと思います。

上村菜穂 プロフィール写真
著者プロフィール|上村菜穂(株式会社PR NET 代表取締役)

マーケティングの本質×SNSのトレンドを掛け合わせた、SNSからの女性集客を専門としている。14歳でメールマガジンを始め、8ヶ月で20,000人の登録を達成(当時の歴代最年少記録)。個人・法人の500件以上のSNSアカウントを個別に指導。これまでの登壇・研修先は、ダイハツ工業・東芝テック・ロート製薬・POLA・楽天大学(楽天グループ)・東京大学・東京都中小企業振興公社・各地商工会議所など。全国で延べ15,000名以上へ講演・研修を実施している。詳しいプロフィールはこちら

🎯 変化の速いSNSの、いま押さえるべきところを

SNSの流れの読み方と、広告費をかけずに選ばれるための考え方を、メールマガジンでお届けしています。

▶ メールマガジンに登録する

🔗 あわせて読みたい関連記事