執筆:上村菜穂(株式会社PR NET 代表取締役|大手企業・公的機関で延べ15,000名以上にSNS研修を実施)
AIを活かせるかどうかを分けるのは、知識よりも「これ、私がやる必要ある?」と疑える図々しさです。「できる作業だから自分でやる」を続けている限り、AIに大きな仕事を任せても、手元には細かい作業が残り続けます。
この記事では、1か月のAI活用を振り返って外注換算で約1,200万円分(※一般的な外注相場からの概算試算であり、売上ではありません)の仕事量になっていたこと、そして本当に価値を感じたのは「作業そのもの」ではなく「次からやらなくて済む仕組み」だったことをお伝えします。
- 1か月AIを使い込んだ結果を、外注換算で振り返るとどうなるか
- 真面目な人ほどAIを使っても仕事が減らない理由
- 「やってください」ではなく「私がやる必要ある?」と聞く問い方
- 一度きりの作業より、ストックになる仕組みの方が効いてくる理由
この1か月、私はClaudeをかなり使い込んでいました。WordPressの改修、SEOの棚卸し、記事のリライト、業務手順の整理、ナレッジの体系化、AIに仕事を任せるためのSkillsづくり……。振り返ってみると、その多くはAIの仕組み化——つまり「次から自分がやらなくて済む形」をつくる作業でした。
「そういえば、この1か月でどのくらいの仕事をしていたんだろう?」
と思い、7月26日頃からのClaudeとのやり取りを振り返ってもらいました。
1か月を振り返ったら、外注換算で約1,200万円分だった
出てきたのは、こんな数字でした。
- チャット数:1か月でおよそ110〜130
- Skills:20本以上に手が入った
- Webサイト:2サイトで300URL以上を棚卸し
- 記事・ページ:制作・改修だけで50本超
さらに、「もし、これをAIを使わずに外注していたとしたら、どのくらいの金額になる?」と試算してもらったところ、約780万〜1,870万円。中央値で約1,200万円前後。という答えが返ってきました。
もちろん、これは一般的な外注相場から計算した概算です。「私は1か月で1,200万円稼いだ」という話ではありません。SEOコンサル、WordPress実装、ライティング、業務設計、リサーチなど、それぞれを専門家へ依頼した場合の費用を積み上げた数字です。
それでも、「この1か月、思っていた以上のことをAIと一緒にやっていたんだな」と、自分でも驚きました。
ただ、この数字以上に、今回気づいたことがあります。それは、AIを活用するなら、ちょっと性格が悪いくらいの方がいいのかもしれない。ということです。
もちろん、本当に人に意地悪をするという意味ではありません(笑)。むしろ、「これ、私がやらなくてよくない?」と、仕事に対して少し図々しくなる、という意味です。
「これくらいなら自分でやればいい」と思っていました
AIを仕事に使い始めた頃の私は、今よりずっと真面目でした。
AIに大きな作業はお願いする。でも、最後のちょっとした作業くらいなら自分でやる。そんな使い方をしていました。
たとえば、Claudeで作ったものをGoogle Driveへ保存するときも、「ここから先は自分でアップすればいいか」と思っていました。数クリックで終わります。難しい作業でもありません。だから、わざわざ仕組みにするほどではないと思っていたのです。
ところが、毎日のようにAIを使って仕事をしていると、その数クリックが何度も出てきます。
そこで、あるとき思いました。「これ、自動でDriveに入るようにできないのかな?」
Claudeに、「これを自動でやる仕組みはありませんか?」と聞いてみました。すると、「できますよ」と。そして、Claudeが仕組みを作ってくれました。
私は、「できるの!?」という感じでした。
それまで私は、自分でできるから、自分でやっていたのです。でもAIからすれば、そもそも私がやる必要のない作業だった。この違いは大きいなと思いました。
真面目な人ほど、AIを使っているのに仕事が残る?
私はこの経験から、少し考えるようになりました。もしかすると、真面目な人ほど、AIを使っているようで、どこか損をしてしまうことがあるのではないか。
「このくらいなら自分でやろう」「わざわざAIに頼むほどじゃない」「最後だけ私が整えればいい」
こう考えてしまうからです。
もちろん、人間が確認した方がいい仕事もあります。最終的な判断や、相手への配慮、自分らしさを加えるところまで全部AIに任せればいいとは思っていません。
でも、毎回まったく同じ手作業をしているなら、本当に自分がやる必要があるのか?これは、一度疑ってみてもいいと思います。
1回2分なら、それほど負担ではありません。でも、その2分が毎日10個あったら20分。1か月なら数時間になります。
さらに大きいのは、時間だけではありません。細かい作業が残っていると、そのたびに頭を切り替えなければいけません。AIに大きな仕事を任せても、最後に人間が細かい処理をたくさん抱えていたら、意外とラクにならないのです。
「できる?」ではなく、「私がやる必要ある?」と聞いてみる
この1か月で、私がAIに投げる問いも少し変わってきました。
以前は、「これをやってください」というお願いが中心でした。今は、その前に、「そもそも、もっとラクにできない?」と考えることが増えました。
たとえば、こんなふうに聞きます。
- これ、自動化できない?
- 次から同じ作業をしなくて済む形にできない?
- ワンクリックにできない?
- そもそも、私が触らずに終わるようにできない?
- 今やっているこの作業、なくせない?
少し性格が悪そうですよね(笑)。人に仕事をお願いするなら、「そこまでお願いするのは申し訳ないな」と思ってしまいそうです。
でも、AIには遠慮しなくていい。むしろ、人間相手なら少し図々しいかなと思うくらい、要求してみる。
そこから初めて、「そんな方法があったんだ」という選択肢が出てくることがあります。
1,200万円の中でも、私が一番価値を感じたもの
今回Claudeが出してくれた試算には、もう一つ興味深い点がありました。
約1,200万円相当と試算された仕事の中には、記事制作やWordPress改修など、その月に終わる「作業」だけではありません。Skills、ナレッジ体系、チェックリスト、索引、カルテの仕組みなど、一度作れば、次から何度も使えるものもかなり含まれていました。
試算では、そのような「ストック」にあたる部分だけでも約340〜930万円相当。私は、むしろこちらの方が大きいと感じています。
記事を1本作れば、記事が1本できます。でも、「記事を作るための仕組み」を作れば、次の10本、100本にも使える可能性があります。
AIに仕事をさせるだけではなく、次回から自分がその仕事をしなくて済む仕組みまで作らせる。ここまで考えるようになってから、AIの使い方が大きく変わりました。
AIで「できる仕事」を増やすより、「やらなくていい仕事」を増やす
生成AIというと、「文章を書いてもらう」「画像を作ってもらう」「調べ物をしてもらう」という使い方がまず思い浮かびます。もちろん、それだけでも十分便利です。
でも、この1か月かなり使い込んでみて、私は少し違う見方をするようになりました。
AIを使う目的は、自分ができる仕事を増やすことだけではない。むしろ、自分がやらなくていい仕事を増やすこと。こちらの方が、仕事の仕方そのものを変えてくれるのかもしれません。
だから最近は、何か面倒な作業が出てくると、すぐに頑張って片づける前に、一度こう考えるようにしています。
「これ、本当に私がやる必要ある?」
そしてAIに聞いてみます。「もっとラクな方法、ない?」「仕組みにできない?」「次から私がやらなくてもいいようにできない?」
よくある質問(FAQ)
「約1,200万円」は、1か月で稼いだ金額ということですか?
いいえ、売上ではありません。SEOコンサル・WordPress実装・ライティング・業務設計・リサーチなどを、それぞれ専門家に外注した場合の費用を一般的な相場から積み上げた概算試算です。金額そのものより、「1か月でこれだけの範囲をAIと一緒に動かせた」という量の目安として見ていただければと思います。
何から仕組み化すればいいのか分かりません。最初の一歩は?
「毎回まったく同じ手順でやっている作業」から探すのがおすすめです。保存先へのアップロード、同じ形式への整形、決まったチェックなど、判断が入らない作業ほど任せやすくなります。まずはその作業をAIに説明して、「これを毎回やらなくて済む方法はありますか?」と聞いてみてください。
何でもAIに任せてしまって大丈夫でしょうか?
すべてではありません。最終的な判断、相手への配慮、自分らしさを加える部分は人が持っておきたいところです。図々しくなっていいのは、そこにたどり着くまでの「毎回同じ手作業」の部分です。
まとめ
1か月分のやり取りを振り返って見えてきたのは、金額よりも「自分がやらなくて済む形をどれだけ作れたか」でした。作業を1回代わりにやってもらうより、次から発生しなくなる方が、その後の時間の使い方が変わります。
AI時代は、何でも自分で引き受ける真面目な人より、「それ、私がやらなくてよくない?」と少し図々しく考えられる人の方が、AIをうまく使えるのかもしれません。
私も、もう少しだけ性格を悪くしてみようと思います(笑)。
マーケティングの本質×SNSのトレンドを掛け合わせた、SNSからの女性集客を専門としている。14歳でメールマガジンを始め、8ヶ月で20,000人の登録を達成(当時の歴代最年少記録)。個人・法人の500件以上のSNSアカウントを個別に指導。これまでの登壇・研修先は、ダイハツ工業・東芝テック・ロート製薬・POLA・楽天大学(楽天グループ)・東京大学・東京都中小企業振興公社・各地商工会議所など。全国で延べ15,000名以上へ講演・研修を実施している。詳しいプロフィールはこちら。
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