スレッズ(Threads)は「やさしいSNS」として登場しました。

攻撃的な言葉が少なく、ギスギスした空気もない。
誰かを論破したり張り合うよりも、「共感」や「日々の気づき」をそっと共有するような、穏やかな空間。

私自身、スレッズのあの空気感が心地よくて、美しいお写真や動画も多いのでよく拝見します。
でも──ある日、ビジネス系の投稿をリサーチしていると、ふと感じたのです。

このやさしさ、もしかしたら一周回って、誰かを傷つけていない?

「やさしい共感」が、正義になるとき

X(旧Twitter)では、誰かを批判するような投稿には、少なからず“自分にもリスクがある”という前提があります。

たとえば、モヤっとした接客体験があっても、それを言語化して投稿するには躊躇がある。
なぜなら、その体験には「相手にも事情があるかも」「自分にも非があったかも」と思える部分があることが多いからです。

そして、実際にXでは「それはあなたにも原因があるのでは?」という反論が寄せられることも多々あります。

でも、スレッズでは──その反応が、あまりない。
共感、応援、スタンプのリアクションが並び、
あなたは悪くない」という空気が、自然に形成されているように感じるのです。

匿名で「正義」を振りかざす危うさ

最近、心を痛めた出来事がありました。

あるリラクゼーションサロンでの出来事を、投稿者が詳細に語っていたのですが──
その文章には、サロン名こそ書かれていなかったものの、場所や雰囲気、メニューなどから、どこかすぐに推測できるような内容でした。

→今の時代、内観のお写真を撮影すればGoogleレンズで探すことができますし、
「◯◯駅から何分くらいのところにある◯◯◯のサロン」とウリにしていることを書けば検索でヒットします。

 

「◯◯という対応をされてすごく傷ついた」
「これって、私が悪いんですかね…?」

そんな投稿に、共感のスタンプが押され、

「ひどすぎる」「絶対行かない」といった声が並ぶ。

 

でも、私が想像してしまったのは

──そのサロンを運営しているオーナーさんのことでした。

きっと日々、心を込めてお客様を迎えている。
でも、たった1人のスタッフさんの一瞬の対応が、そのお店全体を“加害者”としてしまう。
しかも、匿名という安全な場所から、一方的に

 

※間近で見たのはリラクゼーションサロンさんですが、
起業塾の話もあれば、美容院やネイルサロン、飲食店さんなどのものも見かけたことがあります。

全体像は知る由もないので、私の感想なんて意味がないと思いつつも
「これが本当なら明らかにひどい・・・」と感じてしまうものがあったり

「これは一人の人の行動であって、オーナーさんはどんな想いで頑張ってきたんだろう」と思うものもあるのです。

 

起業塾系のネタで言うと、先生からお仕事をいただき契約書もあったそうですが
「こんなの安すぎる」「利用されている」
という旨の内容を以前、見かけました。

私はというと、騙された契約内容ではなく、事前に説明がしっかりあったなら

「会社が新卒の人、未経験の人にもお給料をくれたり、ときには勉強代まで出してくれるのがありがたいことであって、実力を高めるのにほぼ無給に近い下積みをたくさんして、タイムラグで成果が来るものなんだけどな。」

なんて思いながら、コメント欄を見ると自分の考えと真逆のコメントばかりで驚いたものです。

やさしさの正体が、だんだん怖くなる

スレッズの空気感は、あたたかいようで、とても“無敵”です。

なぜなら「私、被害者です」と言えば、どこからか共感が集まる。
疑いの余地なく、寄り添ってもらえる。

それが心の支えになることももちろんあるけれど、
一方で、「この人、ちょっと過剰じゃないかな?」と思ったとしても、反論しづらい空気もあるのです。

共感できない私の方が冷たいのかも」
この空気を壊すのが怖い」
そんな感覚に、身に覚えのある人もいるのではないでしょうか。

 

スレッズのやさしさが生んだ空気の正体とは?

なぜ、スレッズではこうした「共感ありきの投稿」が広がっているのでしょうか。

私なりの考えですが──
やっぱり背景には、「承認欲求」をSNSで満たさなければならなという、今の時代の空気があるのではないかと思うのです。

  • いろんな人から「いいね」をもらえると、嬉しい
  • 「あなたは悪くないよ」と言ってもらえると、安心する
  • 「こんなひどい目にあった」と発信すれば、誰かが寄り添ってくれる

 

それ自体が悪いわけではありません。
人に認められたいと思うのは自然なことです。

でも、その“安心”や“共感”をSNSの世界だけに求めるようになったとき、
誰かを批判したり、自分の正当性だけを主張するような投稿が生まれてしまう──
そう感じることが最近、増えてきたのです。

半径2メートルのやさしさに、立ち返る

そう考えると、私たちが本当に求めているのは、
SNSの「共感」ではなく、日常の中で実感できる“つながり”なのかもしれません。

  • 半径2メートルの人に、喜んでもらえること
  • 半径2メートルの人に、悩みを聞いてもらえること
  • 半径2メートルの人に、「大丈夫だよ」と言ってもらえること

この距離にあるやさしさが、自分の中の不安や承認欲求を自然と満たしてくれて、
わざわざSNSで誰かを批判してまで「わかってほしい」と叫ばなくても済むのだと思います。

 

おわりに

私もまだ、もやもやしています。
でも、こうして立ち止まって考えたり、言葉にしてみることが、ひとつの気づきにつながる気がしています。

SNSは本来、誰かとつながるためのもの。

でも、それが“誰かを裁くための道具”になってしまったら、本末転倒です。

やさしさとは「共感すること」よりも、
「距離を近づけて、声をかけ合える関係をつくること」なのではないでしょうか。

今日の投稿が、そんな本当のやさしさを思い出すきっかけになったら嬉しいです。
ご一読をありがとうございました!

 

上村菜穂 プロフィール

上村菜穂.jpg

株式会社PR NET 代表取締役

マーケティングの本質×SNSのトレンドを掛け合わせたSNSからの女性集客を専門としている。
14歳でメールマガジンを始め、8ヶ月で20,000人の登録を達成。当時の歴代最年少記録を保持。
2021年に株式会社PR NETを創設。
個人、法人の500以上のSNSを個別で指導。登壇は(公財)東京都中小企業振興公社、東京大学、楽天、ロート製薬、ダイハツ工業、東芝テック、POLA、サイバーエージェント、商工会議所、新潟のミスユニバース・ファイナリスト(敬称略)など、全国で延べ13,700名の方へ行っている。

経歴
14歳でメールマガジンを始め、8ヶ月で20,000人の登録を達成。当時の歴代最年少記録を樹立。
大学4年次に新宿にて月間2,000名以上が来場するフリースペース『賢者屋』を創業メンバーとして立ち上げ、初代副代表を務める。同施設内で女子大生を対象に将来を考える企画『なでしこ大学』を運営。

2015年、建築系の大学院を中退し、個人事業主のライターとして独立。
日刊ゲンダイの『コクハク』、東急グループ『ゴルマガ』、株式会社ネオキャリア『起業サプリジャーナル』、株式会社サイバーエージェントの月間500万PVを誇る『by.S』で執筆。

2017年、女性起業家向けにSNS集客セミナーやInstagram集客セミナーを行い、個人のHPとSNSで集客講師の活動を開始。SNSやマーケティングの専門用語をわかりやすく伝え、具体的な実践方法が好評を集め、全国の大手・中小企業、商工会議所・商工会・青年部、ミスユニバースでも講演を行う。

2021年、株式会社PR NETを創設し、代表取締役に就任。
主に『研修・講演事業』『個別コンサルティング』『SNSの運用代行』を行う。
研修・講演事業では延べ13,700名以上、個別の指導は個人・法人で累計500アカウント以上。運用代行では0から立ち上げたTikTokアカウントがフォロー、いいね周り、広告なしの運用で、2年間でフォロワー数6万人を達成。
近年はSNS×AI×Webマーケティングで中小企業の支援をしている。

◆研修実績(敬称略)
ダイハツ工業株式会社/楽天株式会社/東芝テック株式会社/株式会社ロート製薬/株式会社キャリアカレッジジャパン/株式会社UTP/株式会社オモロー

◆講演実績(敬称略)
(公財)東京都中小企業振興公社/東京大学/株式会社ポーラ/株式会社サイバーエージェント/株式会社マイナビ/ベストオブミス新潟/株式会社Schoo/株式会社エディターキャンプ/東京商工会議所/草津商工会議所/久喜市商工会/石岡商工会議所 青年部(石岡YEG)/秋田県信用保証協会/リバーサイド千秋/NU茶屋町/港南台バーズ/紙屋町シャレオなど

■仕事で訪れた都道府県 (47分の14)
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